平成17年(ワ)第3018号
売買代金返還請求事件
陳述書
平成17年8月22日
原告本人
東京地方裁判所民事部第七部 御中
目次
本書は被告準備書面及び被告提出証拠に対する反論をまとめたものである。被告準備書面及び被告提出証拠は偽りや誤りが多く、驚きを禁じえない。相互に矛盾する内容もある。本書を執筆しながら、原告は胸に込み上げてくる悔しさを抑えることができなかった。指が震えてキーボードをまともに打つことができなかったこともある。
間違いは誰にでも存在するが、被告の場合は間違いが多すぎる。三人もの弁護士を付していることが信じ難いほど粗末である(但し、これまでに出廷したのは一人のみ)。原告は本件訴訟に対し、真摯に臨んでいる。原告は被告がもう少し真面目に対応することを要求する。
【アルス】アルスは東京都江東区に建てられたマンションである。八階建てで総戸数は27戸である。一階はエントランス及び駐車場で住戸はない。二階から七階までが各階に四戸あり、八階のみ三戸となっている。
八階は最上階であるが、道路斜線制限により壁が斜めに後退している。そのため床面積は他の階よりも狭い。登記簿上の床面積では二階から七階までは277.59平米であるのに対し、八階は220.38平米である。狭くなっているため、三戸となっている。
【用途地域】アルス所在地の用途地域は第一種住居地域及び商業地域からなる。この用途地域についての東急不動産の表現には矛盾がある。
図面集では「第一種住居地域・商業地域」とする。株式会社ネクストが運営する新築分譲マンション情報サイト「イースマイドットコム」に出稿されたアルスの広告にも「第一種住居地域、商業地域」と記載する。広告は2003年2月14日及び2003年6月8日に掲載が確認されている。現在、このページは削除されている。
しかし被告準備書面(2005年7月8日)では「商業地域(一部第一種住居地域)」と表現を変えている。販売前と販売後では第一種住居地域と商業地域の順序を入れ替え、第一種住居地域は「一部」に留まるように印象付ける。
購入前は物件の価値を、時には嘘を並べてまでもアピールするが、購入後は物件の価値を貶める表現を平気で使う。居住者のことは少しも考えない。これが悪徳不動産業者のやり口である。いわくつきの土地を安く買って言葉巧みに売り切るのは、東急不動産の得意分野である。
被告販売代理の東急リバブルはアルス販売時には商業地域であることを示す説明は一切行わなかった。それどころか、静穏な住環境であることをアピールした。東急不動産は何でもありで、相手を安心させるためには、いくらでも嘘をつく企業である。正直よりも嘘を好む企業である。
・ 販売担当者の中田愛子は原告に対し、「奥まっていて静かですよ」と説明した。
・ パンフレット「Buon Appetito!」(甲第6号証)は「閑静な住環境」と記述する。実際は作業所に隣接しており、舌先三寸の美辞麗句であった。
・ 原告が隣地建物について質問したところ、中田愛子は「倉庫」「資材置き場」と虚偽の説明をした。実際は作業所で騒音が発生するものであった。
・ 被告が作成し、原告に配布した「現地案内図」(甲第12号証)には隣地建物を「ソーコ」と記していた。
一方で販売代理の東急リバブルは現在でもアルスを第一種住居地域として販売している(2005年7月現在)。東急リバブルはアルス204号室の媒介をしているが、FAXで送付された物件広告では用途地域を第一種住居地域とだけ記述している。商業地域も含まれるとの記述は何らなされていない。
204号室媒介広告では「北側前面は州崎川緑道です」と洲崎川緑道公園に隣接していることは強調するが、隣に騒音の発生する工務店があることは一言も書かない。東急リバブル及び東急不動産は詐欺的販売を繰り返す悪徳不動産業者である。
【作業所の騒音】被告及び東急リバブルは隣地が騒音と塗料の臭いの発生する工務店の作業所を倉庫(資材置き場)と偽って販売した。不実告知は宅建業法47条違反である。被告及び東急リバブルは宅建業者であり、法律は遵守しなければならない。
隣地建物が作業所であることについては、アルス建設時に井田は隣地所有者に「作業所なので、騒音があることと塗料の臭いがあることを重要事項に入れておきます」と説明していた。
隣地建物が作業所であることを東急リバブルが知っていて販売したことも明白である。購入後になって「当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました」と回答している(東急リバブル回答文書、宮崎英隆作成、2004年9月13日)。
しかし、重要事項説明には一言も説明がされていない。東急不動産(販売代理:東急リバブル)は原告のみならず、アルス購入者全てを欺いたことになる。うるさく、臭ければ、どれほどの豪邸でも住まい手に満足してもらうのは難しい(安藤剛「耳も鼻も喜ぶ快適な住空間を」日経ホームビルダー2005年9月号)。説明されずに購入し、騒音と塗料の臭いに悩まされる日々となる被害者のことは少しも考えない。被告は売らんがために消費者に不実告知の違法行為を行った。
他のアルス居住者も原告同様、隣地建物が作業所であるとの説明は受けていない。
・ 二階購入者は「購入時の宮崎とのやりとりを思い出すだけで腹立たしい気持ちになります。先月から作業所からの音が聞こえますが工事のように一時的なものではありません」と原告にメールする(2005年8月6日)。
・ 四階購入者に確認したところ、やはり契約時に作業所であるとの説明は受けていないとのことであった(2005年8月4日)。
【間取り一覧】アルスには全八種類の間取りが用意されている。間取りはA-Fのアルファベットで区別される。但しAタイプとCタイプは二種類の間取りが用意されている。間取りと居室の対応は下表の通りである。
|
No. |
Type |
間取り |
居室番号 |
|
1 |
A |
1LDK+DEN |
204, 304 |
|
2 |
2LDK |
404, 504, 604, 704, 803 |
|
|
3 |
B |
3LDK |
203, 303, 403, 503,
603, 703 |
|
4 |
C |
2LDK |
302 |
|
5 |
3LDK |
202, 402, 502, 602, 702 |
|
|
6 |
D |
2LDK |
201, 301, 401, 501,
601, 701, 801 |
|
7 |
E |
2LDK |
801 |
|
8 |
F |
3LDK |
802 |
【販売資料の欠落】奇妙なことにアルスの間取りの記述は東急不動産作成資料によって相違が存在する。資料によって掲載されている間取りと掲載されていないものがある。ここでは図面集プリント版、図面集冊子版(甲第7号証)、図面集(乙第1号証)、「アルス価額表」を比較した。各種図面集の異同については後述する。
同じマンションの販売資料であるにもかかわらず、資料によって記述に矛盾があるのは、東急不動産及び東急リバブルのいい加減さを示すものである。東急不動産は自社の販売する物件にもかかわらず、まともな資料一つ作成することができていない。
|
No. |
Type |
間取り |
記載がない販売資料 |
|
1 |
A |
1LDK+DEN |
図面集冊子版、乙第1号証 |
|
2 |
2LDK |
|
|
|
3 |
B |
3LDK |
|
|
4 |
C |
2LDK |
図面集冊子版、乙第1号証、アルス価額表 |
|
5 |
3LDK |
|
|
|
6 |
D |
2LDK |
|
|
7 |
E |
2LDK |
図面集プリント版 |
|
8 |
F |
3LDK |
図面集プリント版 |
【各戸の間取り】各種資料に記載された各戸の間取りは下表の通りである。ここでは被告が証拠として提出した「3階平面図」(乙第4号証)も検討に加えた。網掛け部分が実物と相違する箇所である。
図面集冊子版(甲第7号証)、図面集(乙第1号証)、「アルス価額表」は1LDK+DENの居室を2LDK、2LDKの居室を3LDKと偽っている。東急不動産は消費者に実物と異なる間取りを提示して販売したことになる。東急不動産が虚偽表示、違法販売を行った動かぬ証拠である。
図面集プリント版は明白な誤りがない点で最も正確な資料と言える。図面集プリント版にはEタイプとFタイプの間取り図は掲載されていないが、801号室と802号室がそれぞれE, Fタイプであることは記載されている。
|
位置 |
号室 |
Type |
図面集 |
アルス 価額表 |
3階平面図 (乙第4号証) |
||
|
プリント版 |
冊子版 |
乙第1号証 |
|||||
|
北東 |
204 |
A |
1LDK+DEN |
2LDK |
2LDK |
1LDK+DEN |
なし |
|
304 |
A |
1LDK+DEN |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
1LDK+DEN |
|
|
404 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
504 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
604 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
704 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
803 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
南東 |
203 |
B |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
303 |
B |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
|
|
403 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
503 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
603 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
703 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
南西 |
202 |
C |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
302 |
C |
2LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
2LDK |
|
|
402 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
502 |
C |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
602 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
702 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
北西 |
201 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
301 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
|
|
401 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
501 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
601 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
701 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
801 |
E |
なし |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
南 |
802 |
F |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
【アルス価額表】「価額表」は一枚のプリント(A4サイズ)である。各居室の価格が掲載されている。原告は勧誘時に東急リバブル・中田愛子より受け取った(2003年6月)。
価額表では既に契約されている居室は販売済と記載され、網掛けになっている。原告が受け取った時点で既に多くの居室が販売済みとされている。しかし価額表上販売済みとされている302号室、304号室、401号室の購入者に確認したところ、購入したのは原告より遅い2003年9月以降とのことである。管理組合理事会(2005年8月21日)及び個別(2005年8月5日)に会って確認した。
キャンセルされたのか、それとも原告に売れそうにない問題物件を押し付けるために「販売済」としたのか。売れ行き好調であるように見せるために、虚偽の「販売済」「成約済」の表示を掲げることは悪徳不動産業者の手法として紹介されている。これまでの嘘で塗り固めた東急不動産及び東急リバブルの対応を想起すれば、疑いは深まるばかりである。
この価額表では304号室を2LDK(実際は1LDK+DEN)、302号室を3LDK(実際は2LDK)と虚偽の表示をしている。
【被告提出証拠の矛盾】被告は図面集(乙第1号証)と「3階平面図」(乙第4号証)を証拠として提出したが、両証拠には矛盾が見られる。一方が正ならば他方は偽である。
・ 図面集(乙第1号証)ではAタイプは全て2LDKとなっている。しかし「3階平面図」(乙第4号証)ではAタイプの位置する北東の居室(304号室)は1LDK+DENとなっている。
Ø LDの広さも異なる。図面集(乙第1号証)が10.8畳であるのに対し、「3階平面図」(乙第4号証)では11.2畳である。
・ 図面集(乙第1号証)ではC Typeは全て3LDKとなっている。しかし「3階平面図」(乙第4号証)ではC typeの位置する南西の居室(302号室)は2LDKとなっている。
Ø LDも図面集(乙第1号証)が10.0畳であるのに対し、「3階平面図」(乙第4号証)では14.7畳である。
図面集(乙第1号証)の記述が正しいならば、東急不動産は虚偽の図面(3階平面図、乙第4号証)を証拠として提出したことになる。「3階平面図」(乙第4号証)の記述が正しいならば、東急不動産は実際の間取りとは異なる図面を提示して販売したことになる。
実際は「3階平面図」(乙第4号証)の記述が正しい。図面集(乙第1号証)の記述は虚偽である。
【アルス新築工事竣工図】アルスの間取りと居室番号は竣工図から判断した。竣工図は管理組合に引き渡される文書で、管理組合保管の文書目録にも記載されている。しかし実際は管理組合に引き渡されておらず、管理会社東急コミュニティーの事務所にあった。原告の度重なる要求により、現在は管理組合が保管している。竣工図に関する経緯は下記の通りである。
2005年7月24日、原告は管理組合保管文書を調査し、「住宅性能評価申請書」を見つける。
7月31日、「住宅性能評価申請書」の内容が現状を反映していないため、より新しい図面がないか調査する。目録中に竣工図の記載を見つけるが、実物は発見できなかったため、アルス管理人・恒石俊造に照会する。
8月1日、管理人恒石俊造から回答文書が届く。東急コミュニティー東京東支店・力三郎に確認したところ、この「住宅性能評価申請書」は最後に建設業者その他不動産業者から送られてきたもので、これより新しい図面はないとのことであった。
原告は「住宅性能評価申請書」は「竣工図」とは名前が異なり、内容も現状と相違するため、東急コミュニティー宛メールで再調査をメールで依頼した。
8月2日、東急コミュニティーから回答文書(力三郎作成)が届く。竣工図は東急コミュニティー事務所で保管しているとのことであった。つまり、先の回答は誤りになる。この種の書類は管理組合のものであるから、管理会社が理事会や管理会社に見せることなく、管理会社事務所内に保管することはあってはならないことである。
管理会社は住民の利益を守るのが筋である。しかし被告子会社である東急コミュニティーはアルスの管理会社であるにもかかわらず、アルス住民である原告の竣工時の図面を見せて欲しいという要求に対し、見せたくない一心から虚偽の回答をした。本体の東急不動産の不正行為をカバーしようとした。被告子会社である東急コミュニティーの管理会社としての信頼も失われた。
アルスの管理会社は購入者の選択ではなく、被告の強制的な指定により東急コミュニティーと決定されていた。これは図面集最終頁「5.管理について」で「管理組合の業務の一部を管理委託契約に基き、株式会社東急コミュニティーに委託することを承認していただきます」と記載されている通りである。
管理会社を子会社の東急コミュニティーに強制することは、被告が販売する分譲マンションにおいては珍しいことではない。しかしこのような管理会社を指定して分譲する商法は公正取引委員会から不当抱き合わせに該当しうると問題視されている(公正取引委員会「マンションの管理・保守をめぐる競争の実態に関する調査」2003年10月24日)。
書籍も以下のように指摘する。「系列の管理会社は営業活動を行わなくても、親会社がマンションを供給し続ける限り、取り扱い件数は着実に増えていくという構造になっている。そのため、他業種のような競争原理がはたらかない面があり、「だれのための管理か?」「居住者よりも親会社に顔を向けて管理業務を行っているのではないか?」と疑問を投げかける声が根強い」(小菊豊久、マンションは大丈夫か、文藝春秋、2000年、180頁)。
【204号室】現在でも東急リバブルは204号室について虚偽表示を繰り返している。
204号室は1LDK+DENである。図面集プリント版と「アルス価額表」は正確に記述する。両者とも販売説明時に東急リバブル・中田愛子より原告に配布されたものである。
しかし下記の資料では2LDKと虚偽の記述をする。
・ 図面集冊子版(甲第7号証)。これは契約書記名後に受領したもので、販売時には参照していない。
・ 図面集(乙第1号証)。東急不動産が証拠として提出したもので、原告は受け取っていない。
2005年7月現在、アルス204号室は東急リバブル錦糸町営業所の仲介物件として売りに出されている。2005年7月25日頃、広告チラシが配布された。東急リバブルのWebサイトにも掲示されている。また、問い合わせをした人にはFAXでより詳細な広告が送付される。
東急リバブルは広告で虚偽表示を行っている。実際はLDが11.2畳、洋室8畳、洋室4畳であるにもかかわらず、広告ではLD 11.4畳、洋室8畳、洋室4.5畳と表示する。東急リバブルが仲介用に作成したFAX送付用広告では間取りを2LDKとしている。東急リバブル(アルスの販売代理)は分譲時に1LDK+DENとして販売した居室を、仲介時になると2LDKと偽って広告する。DENの部分について部屋としてみせるために面積を半畳偽って大きくしたものと考えられる。
東急リバブルの虚偽広告の動かぬ証拠である。東急リバブルが慢性的に詐欺的商法を行っている証左である。販売代理でも仲介でも詐欺的商法は変わらない。ラテン語の諺にある通りである。「狼は毛を変えても心は変えないLupus pilum mutat, non mentem.」。
|
時期 |
単位:畳数 |
間取り |
洋室 |
DEN |
LD |
キッチン |
|
|
分譲 |
図面集プリント版 |
1LDK+DEN |
8 |
DEN |
4 |
11.2 |
記載なし |
|
図面集冊子版 |
2LDK |
7 |
洋室 |
5 |
10.8 |
記載なし |
|
|
仲介 |
チラシ |
記載なし |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.4 |
4.6 |
|
FAX |
2LDK |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.4 |
4.6 |
|
|
Webページ |
2LDK |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.2 |
記載なし |
|
|
Webページ修正 |
2LDK |
8 |
DEN |
4 |
11.2 |
記載なし |
|
|
Webページ再修正 |
1SLDK |
8 |
納戸 |
4 |
合わせて15 |
||
【東急リバブルWebページの頻繁な修正】下図は東急リバブルWebサイトのアルス204号室広告ページに表示されていた間取り図である。ここでも洋室8畳、洋室4.5畳、LD 11.4畳となっており、本来の間取り(洋室8畳、DEN 4畳、LD 11.2畳)と異なる。
この間取り図は2005年7月中には掲載されていたが、遅くとも8月9日には当該Webページから間取り図だけが削除された。

URL: http://www.livable.co.jp/rue/1/CVE57013.php3
【間取り図修正】遅くとも8月12日には東急リバブルのアルス広告Webページに修正図面(下図)が掲載された。洋室8畳、DEN 4畳、居間・食堂11.2畳の1LDK+DENで図面集プリント版の記載と同一のものに改められた。但し間取りは相変わらず2LDKと表示している。「頭隠して尻隠さず」である。

【間取り図再修正】その後遅くとも8月19日にはアルス広告Webページの図面は下図のように再修正された。洋室8畳、納戸4畳、LDK 15畳である。間取りは1SLDKに改められた。Sはサービスルームの略で、建築基準法上居室とは認められない納戸を指す。DENから納戸に変更された理由は不明である。元々、DEN自体に明確な定義が存在せず、納戸との相違が曖昧である。
頻繁な修正は東急リバブルのいい加減さを物語る。分譲時に販売代理をしていたとは思えない企業である。このような企業が販売代理をしていたのであるから、分譲時の説明もいい加減なものであったことは容易に想像できる。

【駐車場料金】東急リバブルは駐車場料金についても虚偽の広告を出している。アルスでは5台分の駐車場が備わっている。機械式駐車場で上段2台、下段3台駐車できる。駐車場料金は月額で上段32000円、下段30000円である(価額表)。しかし、東急リバブル錦糸町営業所作成の204号室媒介広告では駐車場料金を僅か600円とする。常識とはかけ離れたデタラメな金額を掲載する。
【アルス敷地】アルスの敷地は北西の角と南東の角の私有地を囲む、いびつな形になっている。北西の角には隣地作業所(東急リバブルは倉庫と説明)、南東の角には住居が存在する。そのため、アルスの敷地は北側の西半分と西側の北半分が隣地作業所のために後退している。東側の南半分と南側の東半分も住居のために後退している。
【アルス周辺図】アルスと周辺建物の関係は下図の通り。本図は位置関係を示すために作成したもので、長さの比率は実際とは異なる。

【敷地境界】アルスの敷地境界の種類は下表の通りである。これは竣工図にも記載されている(株式会社SHOW建築設計事務所「外構図-1」「外構図-2」2002年12月9日)。
隣地作業所との境界部分のみコンクリートとなっている。アルスは原則として境界をフェンスとしたが、作業所との隣接部分のみコンクリートにしている。これは購入者には説明されなかったが、被告が騒音の発生する作業所であることを認識していたことを裏付ける。また、隣地所有者の要望でフェンスではなくコンクリートにしたことの傍証となる。
|
位置 |
境界の種類 |
隣接物 |
|
北側の東半分 |
フェンス |
洲崎川緑道公園 |
|
北側の西半分 |
コンクリート |
工務店作業所 |
|
西側の北半分 |
コンクリート |
工務店作業所 |
|
西側の南半分 |
なし |
一方通行の道路 |
|
東側の北半分 |
フェンス |
駐車場 |
|
東側の南半分 |
フェンス |
住居 |
|
南側の東半分 |
フェンス |
住居 |
|
南側の西半分 |
なし |
一方通行の道路 |
【不親切な図面集】東急不動産はアルスの購入を検討する顧客に対し、図面集を配布した。アルスは青田売りであるため、現物を確認することはできない。そのため、消費者は図面集から現物を想像するしかない。しかし、この図面集には消費者から見て不親切な点が多々あり、誤解を招きかねないものであった。
この図面集には各戸の間取り図が掲載されている。それらは紙の大きさに合わせて作成されており、縮尺(ex. 1/100)は表示されていない。そのため、この間取り図を見ながら家具の配置を考えることは危険である。
また、間取り図は平面図だけなので、垂直方向のイメージがつかみにくい。つまり、高さは判断できない。そのため、以下のような危険がある。
・ 腰高の窓を足元まである窓だと思ってしまう。
・ 下がり天井が想像した以上に低い。
【区々の方位】北半球においては、図面は北を上にして作図するのが暗黙の了解である。しかし図面集では不親切なことに、図面によって方位が区々であり、統一されていない。各図の方位は下表の通りである。各部屋の間取り図では全てバルコニーが下にくるようにしている。北が上で南が下という消費者の先入観を悪用した典型的な悪徳不動産業者の手口である。
本来、図面集は消費者に正確な間取りを把握してもらうために作成するものである。特にアルスのような青田売りの場合は、現物が未だ存在していないため、この点は重要である。しかし、東急不動産は消費者を混乱させ、物件の短所・問題点・瑕疵を隠すために作成したものと確信する。
|
図 |
方位 |
|
敷地配置図 |
ほぼ上が北 |
|
各階平面図 |
ほぼ上が北 |
|
A type (1LDK+DEN) |
ほぼ右が北 |
|
A type (2LDK) |
ほぼ右が北 |
|
B type |
ほぼ上が北 |
|
C type (2LDK) |
ほぼ上が北 |
|
C type (3LDK) |
ほぼ上が北 |
|
D type |
ほぼ左が北 |
|
E type |
ほぼ左が北 |
|
F type |
ほぼ上が北 |
【複数の図面集】東急不動産は内容が微妙に異なる複数種類の図面集を作成している。図面集は確認できているだけでも四種類ある。それ以上ある可能性もある。四種類の図面集をそれぞれ図面集プリント版、冊子版(甲第7号証)、被告保有版(乙第1号証)、管理会社保有版と名付ける。このうち、原告は前二者を東急リバブルより受領した。
各図面集では間取りや内容が相違し、実物と異なるものもある。しかし、何れの図面集も一見したところは同じものである。消費者が同一物と誤認することを期待して作成したものと判断せざるを得ない。
被告はこれら複数種類の図面集を使い分けて営業していた。消費者に相違点を説明せずに配布していた。これは東急不動産が消費者に正しい図面を提示しない業者であることを示している。被告は複数種類の図面を作成して消費者の注意をそらし、問題物件を騙し売りした。宅地建物取引業者(宅建業者)として失格である。
【プリント版】図面集プリント版は、表面のみ印刷されたプリント11枚をホチキスで綴じたものである。文書の左肩一箇所にホチキス留めがされていた。裏表紙が存在しない点が冊子版と異なる。
原告は図面集プリント版を2003年6月21日に東急門前仲町マンションギャラリーにて、中田愛子から受け取った。中田は、このプリント版図面集を用いて間取りの説明を行った。
従ってアルス売買契約締結意思形成に影響を与えた図面集はこれである。この図面集プリント版には東急不動産が主張する「部屋毎のセールスポイント」は全く記載されていない。従って原告は契約締結時に被告主張の「部屋毎のセールスポイント」を何ら承知していない。
【冊子版(甲第7号証)】図面集冊子版(甲第7号証)は、冊子形態の図面集である。原告はこの図面集冊子版を契約書への記名捺印後に、各種書類と合わせて受け取った(2003年6月26日)。契約書上の日付は2003年6月30日となっているが、契約書を交わしたのは26日で30日には何もなされていない。
図面集冊子版(甲第7号証)は6月26日に受領したものであり、契約締結以前に原告が参照していたものは図面集プリント版であった。つまり冊子版(甲第7号証)は本件契約締結意思形成に全く影響を与えていない。東急不動産は勧誘時と契約後で異なる資料を消費者に配布した。
プリント版と冊子版には種々の相違があるが、これらはむしろ指摘されて判別できるものである。両者の内容は表紙が全く同じであるなど、ほとんど同一内容であり、一見すると内容的には見分けがつかない。形態(冊子、プリント)が異なるだけで、同一内容のものを別形態にしただけと判断しうるものである。一般の消費者は特別な説明がなければ、受け取った時点でまず同一内容と思い込んでしまう。
原告にとって冊子版はプリント版の内容を冊子化したものという認識であった。契約者に対して冊子として提供されたものと考えており、東急リバブルからもそれに反する説明を受けていない。図面集冊子版を渡された際に、東急リバブルから「以前、お渡しした図面集とは異なるものです」などの説明は全くなされていない。
本訴訟においてプリント版ではなく、冊子版を証拠(甲第7号証)として提出したのも、プリント版と冊子版は同一内容と誤解していたためである。図面集が複数種類あることに原告が気付いたのは被告準備書面(2005年7月8日)確認後である。準備書面において、図面集プリント版に全く記載されていない内容が図面集に記載されていたものとして主張されていたためである。
また、冊子版は204, 304号室を2LDK(実際は1LDK+DEN)、302号室を3LDK(実際は2LDK)と虚偽の表示をしている。仮に被告が本資料を契約前に原告に提示して説明していたと主張するならば虚偽の説明をしたことになり、逆に問題になる。
【被告保有版(乙第1号証)】被告保有版(乙第1号証)は被告が裁判所に証拠として提出したものである。原告が受領したプリント版とも冊子版とも相違する。また、乙第1号証には抜けているページがあり、全頁を確認できていない。
被告準備書面(2005年7月8日)は両者について「これは同じパンフレットである」と断言するが、完全な誤りである。原告は乙第1号証と同一の図面集は受け取っていない。従って当然のことながら、乙第1号証はアルス売買契約締結意思形成とは無関係である。
【管理会社保有版】東急コミュニティー(アルスの管理会社)が保有しているものである。原告は東急コミュニティー東京東支店・力三郎から、管理会社保有図面集の一部のコピーを受領した(2005年7月25日)。原告が受領したのはAタイプとDタイプの間取り図である(合計六枚)。このため、該部分以外の管理会社保有図面集の内容は不明である。
管理会社保有図面集ではAタイプの間取りが1LDK+DEN, 2LDK, 3LDK、Dタイプの間取りが1LDK, 1LDK+DEN, 2LDKとそれぞれ三種類ある。実際のアルスには存在しない間取りが含まれている。
また、管理会社保有図面集には下記相違が存在する。
・ Dタイプ(2LDK)の洋室2相当部分が和室になっている。
・ タイプと居室番号の対応に誤りがある。居室番号が振られる順序が実際のものと逆である。実際の204号室が、ここでは201号室となっている。
売主から管理会社に引き継がれる資料は正確な内容でなければ意味がない。ところが被告は管理会社の東急コミュニティーにデタラメの図面を引き渡した。アルス居住者にとってはとんでもない話である。
間違った図面ではリフォームや大規模修繕の際に混乱することは必定である。間取りが違うと配管も異なっている場合があり、工事をする際に穴を開けたら配管がなかったというように非常に困ることになる。
この事実を知った時、被告への新たな怒りが込み上げてきた。被告はマンション住民の安全な生活や利益については少しも考えていない。被告が考えるのは自らの利益のみである。新築マンションの宣伝広告には熱心だが、管理会社に渡す図面のような見えない部分は徹底的に手抜きをする。実態を全く反映していないデタラメな図面を平然と引き渡す。
被告が無責任で杜撰な仕事しかできない倫理性の低い企業であることを改めて思い知らされた。企業としての無責任な行動や企業モラルの低さには心底怒りを覚える。近時、欠陥住宅がクローズアップされているが、アルスの質も知れたものである。被告はやはり宅建業者失格である。
アルスの管理会社を東急コミュニティーとすることは住民の意思ではなく、売買契約の条件として被告が指定したものである。被告は子会社を管理会社に指定するならば、せめて引継ぎぐらいはまともに行うべきである。グループ企業が管理を行うメリットは、それくらいしかない。東急コミュニティーが保有するデタラメな図面の存在は、被告が住民の安全な生活を考えておらず、まともな引継ぎすらしていないことを雄弁に物語っている。
【図面集】図面集の相違点をまとめると下表になる。誤りの箇所は網掛けにした。
|
図面集 |
プリント版 |
冊子版 (甲第7号証) |
被告保有版 (乙第1号証) |
管理会社 保有版 |
|
形態 |
プリント |
冊子 |
不明 |
不明 |
|
間取りの説明文 |
なし |
あり |
あり |
なし |
|
A type (1LDK+DEN) |
あり |
なし |
なし |
あり |
|
A type (2LDK) |
あり |
なし |
なし |
あり |
|
A type (3LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
C type (2LDK) |
あり |
なし |
なし |
不明 |
|
C type (3LDK) |
あり |
なし |
なし |
不明 |
|
D type (1LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type (1LDK+DEN) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type (2LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type 洋室2 |
正しい |
正しい |
正しい |
誤り(和室) |
|
E type |
なし |
あり |
あり |
不明 |
|
F type |
なし |
あり |
あり |
不明 |
|
居室番号と階数の対応 |
正しい |
正しい |
誤り(全て二階居室番号) |
正しい |
|
居室番号とタイプの対応 |
正しい |
正しい |
誤り |
誤り |
|
構造・規模 |
鉄筋コンクリート造地上8階建 |
鉄筋コンクリート造地上8階建 |
RC造地上8階建 |
不明 |
|
建築確認番号 |
平成14年8月12日付 |
平成14年8月12日付 |
平成15年8月12日付 |
不明 |
|
裏表紙 |
なし |
あり |
あり |
不明 |
【図面集の頁構成】各種図面集の頁構成は下表の通りである。網掛け部分が相違点である。
但し被告保有版(乙第1号証)については、原告は保有していない。被告が証拠として提出したものは全頁ではなく、抜けている頁は「不明」とした。
管理会社保有版は一部のみコピーを受け取っただけなので、比較対照としていない。
|
頁 |
プリント版 |
甲第7号証 |
乙第1号証 |
|
|
表紙 |
表紙 |
表紙 |
|
1 |
敷地配置図 |
敷地配置図 |
不明 |
|
2 |
各階平面図 |
各階平面図 |
不明 |
|
3 |
立面図 |
立面図 |
不明 |
|
4 |
A type (1LDK+DEN) |
A type (2LDK) |
A type (2LDK) |
|
5 |
A type (2LDK) |
B type |
B type |
|
6 |
B type |
C type (3LDK) |
C type (3LDK) |
|
7 |
C type (2LDK) |
D type |
D type |
|
8 |
C type (3LDK) |
E type |
E type |
|
9 |
D type |
F type |
F type |
|
10 |
概要 |
概要 |
概要 |
|
|
なし |
裏表紙 |
裏表紙 |
【タイプ】各図面集の相違点として大きいものとして、掲載されている間取りの相違がある。
・ Aタイプ(1LDK+DEN)はプリント版と管理会社保有版にのみ掲載されている。
・ Aタイプ(3LDK)、Dタイプ(1LDK)、Dタイプ(1LDK+DEN)は管理会社保有版にのみ掲載されている。これらの間取りは実際のアルスには存在しない。
・ Cタイプ(2LDK)はプリント版にのみ掲載されている。管理会社保有版は不明。
・ Eタイプ、Fタイプは冊子版にのみ掲載されている。管理会社保有版は不明。
プリント版も冊子版も共にアルスの全間取りを網羅していない。どちらにも欠けている間取りがあり、二つ合わせて初めて全ての間取りを確認することができる。東急不動産は図面集一つ完璧に作成することができないようである。
被告準備書面(2005年7月8日)は「部屋別の間取り、仕様を記載し、部屋毎のセールスポイントを指摘したパンフレットを作成して、原告を含む顧客に交付した」と主張するが、乙第1号証には全く掲載されていない間取りもある。自分が購入を検討する居室の間取りが掲載されていない図面集は無意味である。それらの居室を検討した顧客には何を渡したのか疑問である。
【説明文の有無】図面集によって各タイプの間取りを記載した頁に説明文が掲載されているものといないものがある。プリント版及び管理会社保有版には掲載されていないが、冊子版(甲第7号証)、乙第1号証には掲載されている。
被告は各タイプの図面を掲載した頁に記載された説明文を「部屋毎のセールスポイント」と主張する(被告証拠説明書2005年7月15日)。しかし被告は説明文を全く記載していない図面集を作成して原告に配布した。被告が初めから原告を騙そうとしていた証拠である。
東急リバブル・中田愛子が勧誘時に用いたのは図面集プリント版で、これには間取り毎の説明文が全く記載されていない。中田は図面集プリント版を用いて、原告に間取りの説明を行った。セールスポイントは記載されておらず、当然のことながら説明も何らなされていない。
図面集冊子版の説明文ではその後のトラブルを見越したようにDタイプのみ記述が乏しく、被告に都合の良い形になっている。複数の図面集を使い分け、顧客の注意をそらせて問題物件を販売する。後日のトラブルにおいて、勧誘時には提示していないセールスポイントを持ち出し、「原告がこれらの記載を理解していた」と主張して責任逃れを図る。計画的で悪質な卑怯極まりない悪徳不動産業者の手法である。
原告は図面集冊子版(甲第7号証)を契約書への記名捺印後に受領した。契約前は見ておらず、契約締結意思形成に全く影響を与えていない。被告準備書面(2005年7月8日)は「原告がこれらの記載を理解していたことは言うまでもあるまい」と一方的に断定するが、これは完全な誤りである。問題は被告による欺罔行為によって、原告の注意をそらし、問題物件を売りつけたという事実である。
【居室番号】図面集の各タイプの頁(4-9頁)には居室番号が記載されているが、この記載が図面集によって相違する。プリント版と甲第7号証の記載は現物と同じで正確である。一方、被告保有版(乙第1号証)と管理会社保有版には誤りがあり、誤りの態様も各々で異なる。乙第1号証の場合は欠陥品と言わざるを得ないほど酷いものである。
居室番号の記載は各タイプの頁の右上にある。ここにアルス全居室の表が記載されている。これは当該頁で説明した間取りがどの居室のものであるかを示すもので、該当居室には色が塗られている。図面集によって何号室がどのタイプかについて相違があるのは前述の通りである。
居室番号の相違内容は二点ある。第一に階数と居室番号の非対応である。乙第1号証では全ての階の居室番号が201, 202, 203, 204と二階の居室番号になっている。それ以外の図面集は正確に記載している。常識的に考えて八階の居室を201号室と名付けることはありえない。これは完全な誤りと解する他ない。つまり乙第1号証は外に出すことができない失敗作であると考えられる。
第二にタイプと居室対応の非対応がある。乙第1号証及び管理会社保有図面はタイプと居室番号の対応が誤っている。居室番号の振られる順序が実際のものと逆である。実際の204号室が乙第1号証では201号室となっている。
これは設計変更前の居室番号の振り方である。そのため、乙第1号証及び管理会社保有図面は設計変更による反映がなされていない古いものと判断することができる。
乙第1号証と実際の居室番号の差異は下表の通りである。品質に対して常識的な感覚を有するビジネスパーソンならば、乙第1号証は顧客に配布できない欠陥品であると判断するはずである。東急不動産は顧客に配布できないような欠陥品を証拠として提出し、顧客に配布したと主張する。完成品と欠陥品の区別もできていない。東急不動産がいかに無責任で、いい加減であるかをよく示す事実である。
平然と嘘をつく悪徳不動産営業にとって、キャリアをかけた行動というのはあまり縁がないと思っているかもしれないが、それは大きな思い違いである。組織の中で活動し、キャリア形成を意識している限り、一つ一つの判断は必ずキャリアに影響を与える。一つ一つの行動や意思決定が自分のキャリアに影響を与えていると考えるべきであるし、その緊張感がよい仕事を生み出す原動力になる。被告従業員には望むべくもないことではある。
|
乙第1号証 |
|
実際の居室番号 |
||||||||
|
8F |
203 |
202 |
201 |
|
8F |
801 |
802 |
803 |
||
|
7F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
7F |
701 |
702 |
703 |
704 |
|
6F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
6F |
601 |
602 |
603 |
604 |
|
5F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
5F |
501 |
502 |
503 |
504 |
|
4F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
4F |
401 |
402 |
403 |
404 |
|
3F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
3F |
301 |
302 |
303 |
304 |
|
2F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
2F |
201 |
202 |
203 |
204 |
|
1F |
エントランス、駐車場、駐輪場 |
|
1F |
エントランス、駐車場、駐輪場 |
||||||
【建築概要の誤り】被告保有版(乙第1号証)が欠陥品である証拠はまだある。図面集の最終頁に物件の概要が記載されている。各項目を精読すると被告保有版(乙第1号証)には他の図面集と相違する箇所がある。
第一に「全体概要」「構造・規模」が前者では「RC造地上8階建」となっているが、後者では「鉄筋コンクリート造地上8階建」となっている。RCはReinforced-Concreteの略で、直訳すると「補強されたコンクリート」になる。コンクリートを鉄筋で補強した構造で、鉄筋コンクリートを指す。
従って一般的な用法に従う限り、鉄筋コンクリートもRCも同義語と考えられる。但し被告が「RC造」(乙第1号証)を他の図面集の「鉄筋コンクリート造」と同義で使用しているかについては未確認である。
被告が「鉄筋コンクリート造」と「RC造」を同義で用いている考えた場合、以下の推測が成り立つ。前者は一般的に使用されるが、後者は消費者には馴染みが薄い言葉である。そのため、図面集の推敲過程で術語を消費者に分かりやすい言葉に変更したものと考えられる。つまり、被告保有版(乙第1号証)は修正前の図面集であり、外部に出せるような代物ではない。
第二に「全体概要」「建築確認番号」の確認日付が前者では「平成14年8月12日付」となっているが、後者では「平成15年8月12日付」となっている。これは明らかに冊子版(乙第1号証)の誤記である。最初に建築確認がなされた後に二回、計画変更がなされている(平成14年12月3日付、平成15年2月21日付)。
もし最初の確認日付が「平成15年8月12日付」とすると、計画変更よりも新しくなる。しかもアルスは2002年11月に着工されており、着工後に建築確認申請をしたことになる。これはアルスが違法建築であることを意味する。従って乙第1号証の記述は誤りである。
乙第1号証は被告が証拠として裁判所に提出したものであり、提出にあたっては十分に精査されたものであると思われるが、これに従うとアルスは違法建築になる。被告は違法建築物を販売したことになり、宅建業者として由々しき事態である。被告があくまで乙第1号証を正規の図面集であると言い張るのならば、この点を明確にされたい。
【D type】アルス201号室、301号室、401号室、501号室、601号室、701号室は共通の間取りである(D type)。801号室だけは異なる間取りになっている(E type)。居室の専有面積もD typeが57.02平米であるのに対し、E typeは56.06平米である(図面集)。
D typeの各居室は同じ間取りとされているため、窓の大きさ及び部屋の中での位置は同じ筈である。但し北側の窓が二階と三階のみ網入り型ガラス(曇りガラス)になっている。四階以上は網入り透明ガラスである。
アルスは青田売りのため、販売時には建物は建設中で現物を確認することはできなかった。東急リバブルの販売担当者(中田愛子、宮崎英隆)からも「隣地建替えに備えて網入り型ガラスにする」という説明はおろか、「二階と三階だけ網入り型ガラスになっている」との説明さえなされなかった。図面集Dタイプの頁にもガラス仕様の相違は記載されていない。
そもそも販売時に宮崎英隆自身、二階と三階が曇りガラスであることを認識していたかは疑わしい。原告の問い合わせに対し、宮崎は「網入りガラス」にしたことの説明を繰り返すのみで、「網入り型ガラス」には触れていない。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)「将来的に隣地が建替えられた場合の事前対策として網入りガラスの仕様とさせていただきました」
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)「一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として網入りガラスとしました」
網入りガラスは網状の鉄線が入ったガラスである。網入りガラスは透明ガラスも曇りガラスも含むものである。透明ガラス、曇りガラスを区別するためには網入り透明ガラス、網入り型ガラスという。従って網入りガラスだけでは曇りガラスにならない。
建築基準法上、防火地域や準防火地域では延焼防止のため、この網入りガラスの使用が義務付けられている。このため、アルスでは全階(二階から八階まで)で網入りガラスを採用する。これは二階と三階のみ曇りガラスになっていることとは別の話である。
アルスが網入りガラスとしたのは建築基準法上の規定に基づくものであり、宮崎の回答は二階と三階だけ曇りガラスになっていることの回答にならない。原告が問い合わせした時点でも、宮崎が質問の趣旨を理解できず、「網入りガラス」と回答したものと考えられる。宅建主任者の知識がこの程度ならば、販売時に二階と三階だけが曇りガラスであることを説明できないのも当然である。
原告が窓の仕様の相違とその理由について知ったのは、2004年8月頃、隣地所有者から聞いたのが初めてである。隣地所有者から「こちらが三階建てに建替えられるから、二階と三階が曇りガラスで、四階以上が透明ガラスにしたのですよ」との説明を受けた。
【証拠説明書の虚偽】被告はは301号室と701号室、801号室の窓の位置、形状、大きさが等しいと主張するが、誤りである。「本件マンションの7階、8階の北側の開口部(窓)の位置、形状、大きさ等。本件建物も全く同じである」(被告証拠説明書2005年7月15日)。
301号室(D type)と801号室(E type)は間取りが異なり、窓の位置、大きさも異なる。形状も301号室は網入り型ガラスであるのに対し、801号室は透明網入りガラスが使用されている。301号室と801号室の間取りが相違することは図面集を見れば明白である。東急不動産は自社が販売した物件の間取りさえ、きちんと把握していない。
301号室と701号室は同じタイプの間取りではある。しかし窓の形状は、前者が網入り型ガラスであるのに対し、後者は透明網入りガラスで異なる。窓の位置は部屋に対する位置という点では共通と言えるかもしれないが、それぞれ三階と七階にあるため、高さが異なり、厳密には同じとは言えない。大きさは設計上同じ筈であるが、301号室の窓の幅を測定したところ、同じ大きさの窓でもバラツキがあったため、他の階と全く同じとは判断できない。
【管理規約】東急不動産が隣地に三階建てが建てられることを確実に知っていた傍証として管理規約の規定がある。
アルス管理規約72条7号は「プライバシーを保護するため、一部に型ガラスを使用しており、将来にわたって変更できないこと」と規定する。本条は組合員の承認事項を定めたもので、居住者が自己の負担で透明ガラスに変更することをも禁止する。
型ガラスは隣地建物に接する居室(Dタイプの二階と三階)及びアルス南東の住居に接する居室(Bタイプの二階、三階、四階)において、居室の窓に採用されている。管理規約は理由を「プライバシーを保護するため」とするが、居住者自身のプライバシーを保護するために居住者を規制するのは意味がない。
被告は一体誰のプライバシーを保護するために型ガラスを「将来にわたって変更できない」との規定を作成したのか。原告は東急コミュニティー(アルス管理会社)に本規定について問い合わせした(2005年7月22日)。回答は二週間以上後にようやく出されたが、理由は不明とのことであった。
「当社としては竣工前のことを把握できず、詳細については売主にご確認いただきたいとのことでした」(東急コミュニティー回答文書2005年8月8日)。ここからは本規定制定に竣工前の事情が関係していること、管理会社の東急コミュニティーも理由を説明できないことがわかる。全くおかしな既定であるので、被告には納得のいく説明を要求する。
本規定は近隣住民のプライバシーを保護することを目的としたと考えざるを得ない。東急不動産としては近隣への配慮として型ガラスにすると約束した以上、入居者に勝手に変更されては困ることになる。隣地所有者に対しても、東急不動産窓口井田から二階と三階を曇りガラスにしたとの説明がなされている。
近隣への約束事項を入居者が勝手に変更することがないように、管理規約に規定したものと判断できる。分譲マンションの最初の管理規約は売主が作成するもので、本規定は東急不動産が熟知しているものである。
いつ建替えられるかわからない、さらには資金調達ができなければ建替えられないかもしれないような計画に対して、ここまで周到に規定することは不自然である。建替えを不確定とする東急不動産の弁解は重要事項説明義務違反を逃れるために後から考えたものである。騙し売りを正当化するための偽りである。
【アルス北側】アルスDタイプの窓が三階まで曇りガラスで、四階以上が透しガラスとなっている点はAタイプと比較しても不自然である。型ガラス設置目的を「プライバシーを保護するため」(管理規約72条7号)と解すると不自然さは一層際立つ。
アルスで北側に面しているのはA, D, Eタイプである。このうち、Eタイプは八階のみである。AタイプはDタイプと異なり、二階から透明ガラスである。面している区立洲崎川緑道公園は高台となっており、二階部分(204号室)と遊歩道の高さがほぼ等しい。つまり、洲崎川緑道公園側から見るとアルス一階部分は地下のような形になる。
遊歩道と204号室の高さがほぼ等しいため、204号室の北側窓は通行人から覗かれうる高さにある。ここの窓は日中でも常時カーテンが閉められている。これは覗かれないようにするためであろう。本来ならば、この窓こそ型ガラスにすべきである。東急不動産が居住者のプライバシーを考えて設計していないことを示す証左である。そのせいか、204号室は2005年7月以降、売りに出されている。
一方、Dタイプは二階(201号室)と三階(301号室)が曇りガラス、四階以上が透明ガラスになっている。アルス建設当時は隣地には二階建て作業所(東急リバブルは倉庫と説明)が建てられていたが、その二階の屋根はアルス201号室の窓よりも低く、外部から覗かれる危険はなかった。
それにもかかわらず、二階はおろか三階まで曇りガラスとしている。東急不動産が三階建てを建てるという隣地所有者の話を正確に受け止め、隣地所有者に配慮していたことを示す事実である。即ち、東急不動産自身、確実に三階建てが建てられると認識していた。
【当初は三階も透明ガラス】Dタイプは二階と三階が曇りガラスで、それ以上は透明ガラスである。しかし、これは最初からのものではなく、当初は二階のみを曇りガラスとして設計していた。
これは株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」(2002年12月9日、アルス新築工事設計住宅性能評価申請書)から明らかである。この「建具表-2」の時点では以下の点が現状と異なり、後から設計変更がなされたことをうかがわせる。
・ Dタイプは洋室1と洋室2からなる2LDKではなく、洋室と和室の2LDKであった。即ち、現在の洋室1が洋室、現在の洋室2が和室となっている。
・ 洋室1のはめ殺しの窓がガラスブロックとなっている。
「建具表-2」ではDタイプ洋室(現在の洋室1)、Eタイプ洋室1の西端の窓ガラスについて「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×6」と記述する。これによれば、網入型板ガラスは二階だけなので一枚、網入透明ガラスは六枚となる。二階以外の三階、四階、五階、六階、七階、八階の各居室で六枚である。ここでは三階居室も透明ガラスになっている。つまり、「建具表-2」が作成された2002年12月9日時点では三階は透明ガラスであった。
事情は洋室2の窓ガラスも同じである。「建具表-2」はAタイプ洋室2、Dタイプ和室、Eタイプ洋室2の窓ガラスについて、「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×13」と記述する。
網入型板ガラスは二階だけなので一枚である。一方、網入透明ガラスはAタイプの七戸、Dタイプの三階から七階までの五戸、Eタイプの一戸で計一三枚となる。ここでも301号室は透明ガラスであった。
【竣工図】竣工図でも型ガラスは二階のみで、三階以上が透明ガラスのままである。竣工図では住宅性能評価申請書以後の設計変更を反映している(和室を洋室2にする、ガラスブロックを廃止)。しかしガラスの種類については相変わらず、二階のみ透明ガラスとする(株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」2003年1月31日))。
Dタイプ洋室、Eタイプ洋室1の西端の窓ガラスについて「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×6」と記述する。