
東急不動産消費者契約法違反訴訟被控訴人答弁書(案)
本書は東急不動産消費者契約法違反訴訟控訴審(平成18年(ネ)第4558号)における被控訴人答弁書の草稿である。第一回口頭弁論が開かれる前に東急不動産が和解に応じたため、東急不動産の控訴理由が法廷で主張されることはなく、従って反論である被控訴人答弁書が提出されることはなかった。
本書は被控訴人本人が作成したものである。被控訴人答弁書を裁判所に提出する場合は代理人が作成するが、本書は代理人の参考に資するために本人が作成したものである。
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
との判決を求める。
本件控訴の申立ては全て理由がない。控訴趣意書(平成18年10月18日付)記載の控訴理由は、原判決を非難するものであるが、その論旨は原審における主張と同一である。控訴理由は全て否定された主張の蒸し返しに過ぎない。控訴人は控訴審で争うに足る新しい論拠を何ら示していない。原判決が原審における控訴人(被告)の主張を排斥したのは原判決の説示に照らし正当であり、控訴理由は何れも理由がない。従って、本件控訴は速やかに棄却されるべきである。
被控訴人は、控訴人の控訴理由に対し、原審と重複するが再度、反論を述べる。
【控訴趣意書】先ず控訴人が提出した文書名「控訴趣意書」に問題がある。控訴趣意書は刑事訴訟で使用される用語である(刑事訴訟法第376条)。民事訴訟では控訴理由書と言う。東急不動産は民事訴訟と刑事訴訟の区別もつけられないのか。それとも刑事訴訟での文書名を故意に用いることで、東急不動産は原告を犯罪者扱いしたいという悪意があるのか。控訴趣意書には東急不動産代理人である三弁護士(井口寛二、野村幸代、森本香奈)の記名がある。弁護士を三名も付していながら信じ難い対応である。
平成15年6月26日に重要事項説明に引き続き、不動産売買契約が締結されたことを除き、控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は原審で潰れている。
控訴人は「訴外隣地所有者から「本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建ての建物を建築」するとの情報を得ていなかった」と主張する(控訴趣意書1頁)。これは控訴人の従前の主張と矛盾する。
甲第32号証「東急不動産回答文書」(大島聡仁作成、平成16年10月15日)において控訴人は「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」と記述した。これこそ控訴人が「「本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建ての建物を建築」するとの情報」を得ていた証拠である。その後の東急不動産回答文書も同内容を記述する(甲第37号証、甲第38号証)。
控訴人の主張が事実無根であることは明白である。控訴審においてまで、明々白々な嘘の主張を続けることに驚きを禁じ得ない。神聖な国家機関である高等裁判所に虚偽文書をよくも出せるものと怒りを覚える。
控訴人自身、原審において甲第32号証と同一文書の写しを証拠として提出している(乙第7号証の1)。即ち控訴人は原審において証拠を通して「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」と主張していた。
東急不動産住宅事業本部・関口冬樹も証人尋問において認めている(関口冬樹証人調書23頁以下)。ここでは営業サイドに伝えたとまで証言した。
裁判官「建ちますというようなことだって、そういうことはなぜ説明しなかったんですか。」
関口「いや、我々からその営業サイドのほうに引き継ぐときには、そういったお話が出ているということは伝えております。」
井田真介も同様に証言する(井田真介証人調書24頁)。
原告代理人「あなたが東急のきょう名前が具体的に出た、関口、中西という方々には、隣地所有者さんがこうはっきり言っているということははっきり伝えてあるわけでしょう。」
井田「はい。」
ところが控訴趣意書では「情報を得ていなかった」と主張を変える。控訴人の主張は、変化自在に変わる。その場しのぎで、食言を意に介さず、不誠実極まりない。言葉は放った時点で命を持つ。言葉は重い。この重い言葉を軽々と翻す東急不動産には宅地建物取引業者の資格はない。
【東急不動産の主張の変遷】何故、井口寛二弁護士は控訴趣意書に明らかに分かる虚偽を書くのか。不可解である。
東急不動産は以下三点について隣地所有者から説明を受け、同意していた。
第一にアルス完成後すぐに隣地建物を三階建てに建て替える。
第二に工務店の作業所と住居が一緒になるから騒音がある。
第三に後日、購入者との間で問題が起きることがないようにするために東急不動産が二階及び三階の購入者に上記第一及び第二を説明する。
被控訴人が問い合わせをした当初、東急リバブルは「知らない、聞いていない」と嘘をついた(2004年8月23日)。原告が真相を究明していくうちに東急不動産からの数回の回答文書及び協議(2004年12月12日)の場において初めから知っていたと明らかにした。東急不動産の説明内容は以下の通りである。
「井田真介(康和地所元従業員、現アソシアコーポレーション株式会社取締役)から聞いて初めから全て知っていました。言いたくても言えなかったのですよ。綺麗になって喜ぶ人もいるから。」
「当社の判断で説明しないことに決めました。」
「隣地所有者との約束を破ってしまったことは隣地所有者には申し訳ないと思っている。近日中に謝りに行きます。」
当社の判断とは隣地所有者が建築費用困難であったことを指している。しかし東急不動産は隣地所有者に「建築費用困難については井口寛二弁護士が勝手に書いたものです。申し訳ありません。すぐに訂正させます」と謝罪した。
甲第13号証「隣地所有者陳述書」6頁に以下の記述がある。
隣地所有者「調べもしない。私にも聞かないで都合の良い解釈をしただけじゃないですか」
野間秀一(東急不動産住宅事業本部)「そういう事になります」
大島聡仁(東急不動産住宅事業本部)「そういう事ですね」
隣地所有者は証人尋問においても以下のように証言した(隣地所有者証人調書16頁)。「原告さんにはそうやって人のせいというか、私の計画性がない、資金がないということを言っておいて、自分の前に来ると、直接会ったときは平謝りというか、勝手な解釈をして申し訳なかったと。」
関口冬樹を含む東急不動産従業員は、井田真介から隣地所有者の話を全て聞いていること、隣地所有者が資金調達できないことは井口弁護士が勝手に書いたこと、東急不動産が隣地所有者との約束を破ったことを皆、認めている。だから一審判決では原告の主張が認められた。
東急不動産従業員が認めているにもかかわらず、控訴趣意書1頁では隣地所有者からアルス完成後すぐに三階建ての建物を建築するとの情報を得ていなかったと主張する。全く筋が通らない主張である。東急不動産の従業員達は知っていたと認めているにもかかわらず、井口寛二弁護士だけが情報を得ていないと虚偽を主張する。控訴趣意書も井口寛二弁護士が勝手に書いたのか。初めから終わりまで粗末な呆れた内容である。
【三階までが型ガラス】アルスでは三階までの住戸の窓が型ガラスであり、四階以上の住戸は透明ガラスになっている。これは控訴人が建て替えられる隣地作業所階数を三階と認識していた証拠である。原告が隣地所有者から真相を聞いた時、隣地所有者は「だから二、三階は型ガラスで四階以上が透明ガラスなのですよ」と説明した(甲第27号証)。
型ガラスを採用したのは三階に建て替えられることになる隣地作業所への配慮である。管理規約は型ガラス採用の目的をプライバシーの保護とする(甲第24号証、アルス管理規約第72条7号)。しかし管理規約では購入者が自らの意思で型ガラスから透明ガラスに変更することを禁止する。東急不動産の定めるもの全てに当てはまるが、居住者にとっては義務だけで、マイナスにこそなれ、プラスになることはない(甲第42号証「陳述書(二)」23頁)。管理規約に挙げるプライバシー保護は居住者ではなく、近隣住民への配慮である。
法令上、隣地はアルスと同様、八階まで建築可能である。将来起こり得るかもしれない不確定な建て替えによりプライバシーを保護するためには、隣地に面する全ての階の窓を型ガラスにしなければならない。控訴人は隣地所有者から三階建てに建て替えられることを聞いていた。そして絶対に四階以上は建てないと隣地所有者から約束されていた。だからこそ、安心して四階以上は透明ガラスを採用した。
この点は一審判決が正当に認定するところである(12頁以下)。原審の見解は正当であり、何ら異とするに当たらない。
本件マンション完成後すぐにその北側に隣接する所有地に旧建物を取り壊して3階建ての作業所兼居宅を建て替える計画であることを聞かされていたのである(だからこそ被告においても前記認定のとおり本件建物北側の窓ガラスを型板ガラスにしたものと思われる。)
しかも東急不動産は卑劣にも図面上は301号室を透明ガラスとした(乙第5号証の2)。洋室1も洋室2も網入型板ガラスは二階の一枚だけで、他は透明ガラスとなっている。乙第5号証の2が、どの時点の設計書類であるかは不明であるが、管理組合が保管する設計図書及び竣工図書でも同様に型ガラスは二階だけで、三階以上の住戸は透明ガラスである(甲第42号証「原告陳述書(二)」24頁)。物件が完成してから作成される筈の竣工図書においても虚偽の内容を記載する。東急不動産は虚偽の図面まで作成して消費者を欺く企業である。
【契約締結日】控訴人は、平成15年6月26日に売買契約を締結したと主張する。不動産売買契約書の日付は平成15年6月30日である(甲第3号証)。契約締結自体は6月26日に行われたが、契約書上の日付のみ6月30日とされた。
契約書の日付を書いたのは東急リバブル担当者である。これは被控訴人が自書した住所氏名の部分と日付欄の字が筆跡も筆記用具の種類も異なることから明らかである。即ち契約締結が6月26日に行われたにもかかわらず、東急リバブルの希望で契約書上の日付を未来の6月30日としたことになる。
この点について控訴人は原審において以下の通り陳述した(甲第42号証「原告陳述書(二)」44頁)。
【契約締結日】本件売買契約の契約行為(契約書への記名捺印)は重要事項説明と同じ、2003年6月26日になされた。契約書上の日付は6月30日となっているが、契約書への記名捺印が行われたのは6月26日である。6月30日には何もなされていない。
6月26日には重要事項説明、住宅ローンの申込、契約締結を通して行った。これは原告が東急リバブル・中田愛子から受け取った「お申込からお引渡までのスケジュール」に記載されている。これはA4サイズのプリントで、タイトルの通り、引渡しまでのスケジュールが記載されている。6月26日に「重要事項の説明及び契約書等へのご調印」と記述してある。契約書への調印は6月26日に行われた。
また、受領証(乙第2号証)にも記されている。「受領証」は宅建業法35条(重要事項の説明等)及び同法37条(売買契約締結時の書面交付)規定の書面の受領証を兼ねている。これは「受領証」に「同法37条に基づく売買契約時交付図書の受領も兼ねます」と記載されている通りである。即ち、6月26日に重要事項説明と契約締結が一緒になされたことを示すものである。
当事者双方とも6月26日時点で契約が成立したとの認識を有していた。その証拠に6月26日の契約締結後に、東急リバブル・中田愛子は原告にオプション会(6月29日、11:00-15:00)に勧誘した。オプション会は新規に購入できる設備・仕様を展示し、内装工事の際に一緒に取り付けられるようにするための購入者向け商品展示会である。そして契約書上は未だ成立していない筈の29日に原告はオプション会に参加し、照明やクーラーの説明を受けている。
東急リバブルお客様相談室が著した書籍では重要事項説明について以下のように記述する。「不動産会社によっては、この重説を売買契約の直前に行うところもありますが、行政は契約の一週間前の実行を求めています」(東急リバブルお客様相談室、プロしか知らない不動産の落とし穴、住宅新報社、2000年)。
東急リバブルが本に書いたことと実際の販売手法は大違いである。東急リバブルが予め用意した書面の受領証が宅建業法35条(重要事項の説明等)と同法37条(売買契約締結時の書面交付)を兼ねていることから、重要事項説明と契約締結を同時に行うことが東急リバブルでは慣行化していることがわかる。しかも契約書上は契約締結日を後にして証拠隠滅を図る。計画的かつ悪質な悪徳不動産業者の手口である。
東急リバブルは重要事項の説明を形式的に済ませ、即座に契約締結に誘導した。上述の甲第42号証で引用した東急リバブルお客様相談室の書籍内容とは大違いである。東急リバブルは正に契約直前に重要事項説明を行った。東急リバブルの販売手法は、自社で出版した書籍に書かれていることの逆である。東急リバブルは悪行を隠すために契約日を6月30日と書き入れて証拠隠滅を図った。
契約日を意図的に操作しておきながら、問題を指摘されると、さりげなく実際の契約締結日を持ち出す。控訴人のご都合主義には呆れてしまう。本件不動産売買契約が取り消しに値するいい加減なものであることの証左である。
【建築確認申請】隣地建物の建築確認申請がなされていない事実は「アルス完成後すぐに三階建てに建て替える」との話を裏付けるものである。建築確認申請書には工事着手予定年月日を書かなければならない。アルスの竣工が何時になるか、正確な日時が不明なのだから、建築確認を申請することは不可能である。
そもそも一年以上後の工事に対し、建築確認申請することはない。隣地所有者はアルス完成の二ヵ月後の平成15年11月に建築確認申請をした。東急不動産自身、アルスの着工が平成14年11月20日で、建築確認は僅か三ヶ月前の8月12日である(甲第15号証「図面集」最終頁)。
仮に数年先の工事について建築確認を得たとしても、法令が改正された場合は申請に要した労力も費用も無駄になる。早めに申請して建築確認をとっても、設計を変更する場合は改めて変更確認をとらなければならない。個人の場合は着工の一ヶ月前に出すことも珍しくない。隣地所有者が東急不動産に建て替えを説明した平成14年時点で建築確認を申請する筈がない。この程度のことも知らないとは建築に関係する企業として無知も甚だしい。恥知らずとしか言いようがない。
控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は原審で潰れている。
【担当者関口の虚偽】控訴趣意書では東急不動産の担当者として住宅事業本部・関口冬樹の名前しか出ていない。これは誤りである。関口は隣地所有者とは挨拶程度の立ち話しかしていない。隣地所有者と会った時も、関口は事前に約束をして訪問した訳ではなく、偶然会った立ち話である。大事な話は何一つしていない。
近隣住民との折衝は井田真介が行った。井田真介は、当時は康和地所の従業員であったが、東急不動産の側に立って東急不動産のために働いていた(隣地所有者証人調書5頁)。東急不動産がマンション建設に際し、近隣住民との折衝を他社に丸投げすることはよくあることである。
悪徳不動産業者の無責任な需要に対応するために、近隣折衝業務を受託する専門の会社まで存在する。悪徳開発業者は自らが正面に出ない限り、自分の手が汚れてないとでも思っているようである。
例えば東急不動産は「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」(川崎市宮前区、土壌汚染発覚により建設中止)及び「湘南袖ヶ浜レジデンス」(神奈川県平塚市)建設に際し、株式会社メイズ・プラン(代表取締役平野直樹、宅建番号[神奈川知事]3-20379、2002年1月現在)に近隣折衝業務を受託した。
【従前の主張との矛盾】関口冬樹を(少なくとも唯一の)担当者とすることは東急不動産の従前の主張とも矛盾する。東急不動産従業員は今まで被控訴人に対し、担当者は住宅事業本部第四事業部(当時)の大島聡仁しかいない、と何度も主張していた(甲第48号証「原告陳述書(三)」45頁)。その大島と連絡が取れないため、他の担当者を要求しても対応されることはなかった(甲第48号証「原告陳述書」46頁)。東急不動産は何時戻ってくるか大島聡仁が連絡するのを待つことを要求するのみであった。当然のことながら大島聡仁のような無責任な人間が連絡する筈もなく、被控訴人が大島聡仁と連絡が取れたことはなかった(甲第42号証「原告陳述書(二)」57頁)。
その後、東急不動産の協議(2004年12月)において担当者と名乗った人物は住宅事業本部・林正裕グループリーダー、野間秀一課長である(この時点で大島聡仁しかいないと主張した東急不動産の大嘘が露見した)。関口冬樹は登場していない。
井田真介は東急不動産の担当者として三名を挙げる。「売買に関しては野間さんという方、11月の時点の引き継ぎのときに記憶しているのは、関口さん、ナカニシさんです」(井田真介証人調書22頁)。
関口冬樹自身、証人尋問ではアルスにおいて、もっと重要な役割を果たした人物がいることを証言している。上司の野間秀一が責任者で決裁したと証言する(関口冬樹証人調書19頁)。
以上から仮に関口冬樹をアルスの担当者と認めたとしても、せいぜい担当者の一人に過ぎないことが分かる。とすれば訴訟においては関口冬樹よりももっと重要な人物の認識・言動が問題となる筈である。しかし控訴趣意書1頁には「担当者関口」と堂々と書いている。まるで関口冬樹が唯一の担当者であるかのような書き方である。
被控訴人は担当者を自称する大島聡仁というとんでもない無責任な人間に翻弄され、無駄な労力を使ってきた。東急不動産と協議をすることは歪んだ汚いガラスを通して焦点を合わせるようなものであった。東急不動産の約束は金魚すくいに使うモナカ並みに脆弱であった。東急不動産従業員は生物学的及び社会学的に彼らが行動し、考え、感じることに従って、行動し、考え、感じるしかない。しかしプログラム通りに行動したに過ぎなくても、東急不動産従業員の対応は悪感情を抱かせるものであった。
何故、控訴趣意書で担当者関口と書くのか。関口冬樹が担当者であるとは今までの経緯から真に不可解である。
【井田真介の位置付け】控訴趣意書2頁では井田真介証人調書を引用して、東急不動産の方法が自社以外の不動産会社においても一般的であったと主張する。しかし東急不動産の主張は成り立たない。
井田真介は隣地所有者との折衝内容を証言するために召喚された証人である(被告証拠申出書、平成18年1月6日)。不動産業界の一般的な慣行を説明することを求められた訳ではない。井田真介の証言内容は井田真介個人の知識経験を語るものでしかない。高々、一人の証言をもって不動産会社において一般的だったと断定する東急不動産の論理は乱暴極まりない。
加えて井田真介を平均的・典型的な不動産業に従事する業界人と見ることもできない。井田真介は株式会社大京、康和地所株式会社、アソシアコーポレーション株式会社と勤務先を転々としている(井田真介証人調書1頁)。三社の資本金及び設立年月日を下表にまとめたが、井田は転職する度に資本金が少なく、設立年月日が浅い会社に変わっている。
|
社名 |
設立年月日 |
資本金 |
|
大京 |
1964年12月11日 |
269億9,992万円 (2006年3月31日現在) |
|
康和地所 |
1999年2月4日 |
3億7,654万円 (2006年11月12日現在) |
|
アソシアコーポレーション |
2004年2月 |
1000万円 (2004年3月19日現在) |
東急不動産が主張したいのは重要事項説明書の記載内容についてであるが、井田真介の知識経験は不動産業界における重要事項説明書の一般的な記載内容を説明するに足るものではない。
井田真介は証人尋問において「一貫してマンションをつくって売るという業務に携わっておられた」との質問を肯定する(井田真介証人調書1頁)。しかし上記企業に勤務していたということだけではマンション・デベロッパーの業務に携わっていたとはいえない。アルス(リリーベル東陽町サーモス)に関して康和地所は建設地を地上げして、東急不動産に売却しただけである(井田真介証人調書3頁)。地上げ屋・ブローカー的な役割しか果たしておらず、マンションを消費者に販売するための業務には携わっていない。
康和地所退職後の勤務先であるアソシアコーポレーションは用地仕入れに特化した会社である(甲第48号証「原告陳述書(三)」44頁)。ここでも土地を仕入れて転売することが業務で、マンションを販売するための業務は対象外である。井田真介がマンションを販売する業務に携わっていたとする事実は何ら立証されていない。従って井田真介の証言内容は業界の一般的な慣行を示すものではない。
【茶のみ話】控訴人は「建築資金に関する金融機関の話題は二度、三度のことであって、「茶のみ話」でもあるまい」と主張する(2頁)。これは偽りである。隣地所有者が関口にした話は正に茶飲み話であった。隣地所有者にとっては偶然会った立ち話に過ぎなかった。
既に原告が反論した通りである(甲第48号証「原告陳述書(三)」47頁以下)。
永代信用組合が破綻したことは隣地所有者の資金調達とは関係ない。被告は隣地所有者との話から話題になった内容を都合よく結びつけて、不利益事実不告知を正当化しようとしているに過ぎない。
問題発覚後、井田は隣地所有者に直接、「銀行が潰れたというのは隣地所有者にお金がないということではないですよね」と話している。
関口冬樹は、隣地所有者から隣地建物の由来や洲崎遊郭の跡であると話を聞いたと証言している(関口冬樹証人調書5頁)。これらの話題は関口が主張するアルスの重要事項説明とは無関係である。ここからは隣地所有者と関口との話し合いが堅苦しい真剣なものではなかったことが分かる。
世間話の中で永代信用組合の破綻の話題になったことを悪用して、隣地所有者を資金調達困難とこじつけたのが実情である。被告は四階購入者には隣地建て替えを説明しており、資金調達困難との理由も関口冬樹が、でっち上げたものと確信する。
控訴人の主張が何の根拠も伴わない控訴人の単なる希望的観測に過ぎないことは明白である。控訴人の主張は、推論の過程に著しい論理の飛躍があり、隣地所有者の説明内容を曲解するものであるから、失当である。
【金融機関名】そもそも控訴人は問題の金融機関名を正しく認識していない。被告準備書面(平成18年6月28日)3枚目では、「永代信用組合」ではなく、「永大信用組合」と記載する。永大信用組合という名前の金融機関は存在しない。永代は永代橋がある通り、地名である。
永代橋は帝都東京の門と呼ばれた橋である。ドイツライン川に架かっていたレマーゲン鉄道橋をモデルにし、現存最古のタイドアーチ橋かつ日本で最初に径間長100mを超えた橋である。控訴人が隣地所有者の話を真剣に聞いておらず、被控訴人とトラブルになった後で騙し売りを正当化するために隣地所有者の言葉を歪曲したことがよく分かる。控訴人は、ただ思いつきを並べているだけである。
【打ち消し推量の助動詞】控訴趣意書では「……まい」という表現を好んで用いている。控訴趣意書2頁では三度も登場する。
l 「本件最終調査の目的、位置付けを考慮すれば合理的でもあるまい」
l 「「茶のみ話」でもあるまい」
l 「担当者関口の証言に疑義を差し挟む余地はあるまい」
原審における被告準備書面でも「……まい」という表現が使用されていた。
「まい」とは打消しの推量の意を表す助動詞である。小学館『大辞泉』では「……ないだろう」と言い換えている。つまり控訴人の主張は推量でしかない。断定するつもりはないということである。
レポートの書き方の教科書でも以下のように指摘する。「レポートでは、確実なこと、自分がそうだと思うことは、はっきりと明確に書くべきなのである」(木下是雄『レポートの組み立て方』筑摩書房、1994年、174頁)。にもかかわらず、明確に断言しないのは控訴人の自信のなさの表れである。
それどころか、控訴趣意書の執筆者である控訴人代理人の苦慮さえうかがえる。控訴人代理人は控訴人の代理人として依頼人の利益となることを主張しなければならない。一方で弁護士は勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない(弁護士倫理規定第7条)。いくら依頼人のためとはいえ、嘘をついてはならない。
黒を白と主張することは弁護士の倫理に反する。但し依頼人に都合の良いように推量するだけならば事実を曲げたとまでは言えないと自分で自分を誤魔化すことはできる。依頼人の利益と弁護士倫理の板挟みによる苦渋の表現が「……まい」である。「……まい」は井口弁護士が都合の良いように推量して誤魔化しているだけである。
【関口冬樹偽証】関口冬樹証言には何らの信憑性もない。控訴趣意書2頁の「担当者関口の証言に疑義を差し挟む余地はあるまい」との主張には全く説得力がない。この「あるまい」は断定ではなく、推量でしかない。即ち控訴趣意書自身が関口冬樹の証言は確実なものとは断定できないと主張している。
関口冬樹は証人尋問の場において明白な偽証を行っている。既に原告が陳述した通りである(甲第48号証「原告陳述書(三)」33頁)。
【関口の偽証】乙第7号証の2についての関口冬樹証言は明らかな偽証である。原告及び裁判所を愚弄する非常に由々しき問題である。
関口冬樹は乙第7号証の2を2005年2月頃に作成したと証言した(関口冬樹証人調書13頁)。国土交通省から宅建業法違反の件で呼ばれたこととは関係ないとも証言した。これは明らかな虚偽である。
被告証拠説明書差し換え版(2005年8月23日送付)は乙第7号証の2について以下のように説明する。「平成17年7月8日頃作成」「被告は、国交省に本件に関する経緯を文書によって説明しているが、乙7の2は、国交省に提出した文書に数箇所書き加えをした文書」。
被告証拠説明書差し換え版(2005年8月23日送付)の説明から、乙第7号証の2が国土交通省への報告書が元になっているものであることは明らかである。被告は自ら様々な嘘を交えた屁理屈というべき主張をしながら、他方で御丁寧にも自ら墓穴を掘る矛盾した証言をした。
国土交通省に提出した報告書を土台として、自己に都合のよいように改竄したものが乙第7号証の2である(甲第42号証「原告陳述書(二)」51頁)。実際、乙第7号証の2は隣地所有者宛東急不動産株式会社住宅事業本部「ご報告書」(甲第40号証)とほぼ同じ内容である。甲第40号証中で「以下同文を国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課宛てに追加補足文として提出させていただきます」と記述する。
被告は改竄した証拠を提出して裁判所を欺こうとした。甲第40号証は被告が証拠の偽装を行ったことを裏付ける証拠である。被告側の偽装工作の実態までもが白日の下に晒されている。
被告証拠説明書差し換え版の執筆者である井口寛二弁護士が関口冬樹の偽証を知らない筈がない。それとも井口弁護士が関口に偽証を教唆したのか。虚偽の証言を基礎にして、事実認定がなされてはならないことは言うまでもない。
東急不動産従業員(林正裕、野間秀一)は「報告書は井口寛二弁護士が勝手に書いたものです。申し訳ありません。すぐに訂正させます」と隣地所有者に謝罪した。東急不動産は国家機関である国土交通省及び裁判所に虚偽の報告書を提出した。このようなことが通るのかと憤りを感じる。
控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は既に原審で潰れている。
控訴趣意書3頁では「建物容積率は400%であって法的には本件マンションと同じ階層まで建築することも可能である」と強調する。それならば、何故、三階までを型ガラスとし、四階以上を透明ガラスとしたのか。控訴人が隣地所有者から建替えは三階建てにすると聞いていたからに他ならない。隣地所有者の話を現実性のあるものとして受け止めていたからに他ならない。だからこそ四階購入者には三階建てに建替えられると安心して説明できたのである(甲第46号証)。控訴人の主張は整合性を欠いている。
控訴人が作成した重要事項説明書には隣地所有者が説明した内容(アルス建設後すぐに建替える、三階建てを建てる、住まいと作業所が一緒になるから騒音がある)は一切反映されていない。原告準備書面第一17頁以下で指摘した通りである。
それは、自ら述べるとおり、まさしく「一般的」な記述であり(参照、関口証人調書23頁)、被告の主張する「本件マンションの北側隣地」に何ら言及するものではなく、また、被告の担当者宮崎英隆(重要事項の説明者、宅地建物取引主任者)も、平成15年6月26日(木)の重要事項説明の際、原告の「北側の建物も指しているのか」との「質問」に対し、「そういうものではない、一般的なものだ」と「回答」している(原告本人調書3頁、甲14−23頁、甲42−33頁、甲48−3〜5頁、甲47−4〜5頁)のである。
このような、「将来」についての「一般的」な説明をもって、本件北側隣接地の建替え計画という原告の不利益事実を告知したとすることは、到底許されるものではない。
関口冬樹は証人尋問において購入者から質問が出れば建て替えを説明した可能性を仄めかした(関口冬樹証人調書24頁)。この関口冬樹証言は偽りである。被控訴人は上述の通り、東急リバブル住宅営業本部・宮崎英隆に質問している。購入者から質問があろうとなかろうと、不利益事実は徹底的に隠して問題物件を販売するのが東急リバブル及び東急不動産の商法である。
東急リバブルは不利益事実を隠すどころか、東側の危険を強調して301号室を推奨したのが実態である。東急リバブルは「アルス敷地東側には駐車場がある。駐車場は立ち退きの問題がないため、突然、建物が建てられることはある。だから東側の住戸は眺望が遮られることになる可能性があり、危険である。西側には建物があるため安全」と薦めた(原告本人調書13頁)。
もっとも関口冬樹は証人尋問で続けて確定的でなければ説明しないとも証言しており(関口冬樹証人調書24頁)。甲第37号証「東急不動産回答文書」(平成16年12月16日)では「隣地所有者様宅建替については不確定事項であり原告様にご説明はさせていただいて頂いておりません」と記述する。東急不動産の主張が確定的でなかったから説明しなかったのか、確定的でなく質問がなかったため説明しなかったのか不明であるが、何れにせよ東急不動産が不利益事実を説明しなかったことは事実である。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。原審判決が正当にも認定した通りである(12頁以下)。
本件マンション完成後すぐにその北側に隣接する所有地に旧建物を取り壊して3階建ての作業所兼居宅を建て替える計画であることを聞かされていたのである(だからこそ被告においても前記認定のとおり本件建物北側の窓ガラスを型板ガラスにしたものと思われる。)から、本件建物の購入者である原告に対し、本件マンション北側隣地の所有者が旧建物を取り壊して3階建ての建物に建て替える計画があり、建て替えがなされる予定であることを告知すべきであったというべきである(建築の具体的な着工時期や3階建て建物の建築内容等が未確定であったことから、被告において隣地所有者の建替え計画がおよそ実現される可能性がないものであるとか、建築するについても本件マンション完成後すぐにというものではないと判断したことを正当化する事情は見出せない。)。また、重要事項説明書(甲5の2)に記載された「本件建物の隣接地」に本件マンション北側隣地が含まれ、「建築物の建築、建替え」に本件マンション北側隣地の旧建物が含まれるとしても、前示のとおり、宮崎は、原告に対し、重要事項説明書に記載された一般的な説明をしたにとどまるのであって、具体的に本件マンション北側隣地の旧建物が含まれるとしても、前示のとおり、宮崎は、原告に対し、重要事項説明書に記載された一般的な説明をしたにとどまるのであって、具体的に本件マンション北側隣地の旧建物に言及して説明したとは認められず、宮崎の説明をもって、原告に対し本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建ての建物が建築されるという不利益事実の告知がなされたと解することはできない。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
控訴人は、本件マンション完成後すぐに北側隣地に三階建ての建物が建築される」との認識を有していた。これは前述の通り、甲第32号証「東急不動産回答文書」(大島聡仁作成、平成16年10月15日)から明らかである。甲第37号証、甲第38号証にも同旨記述がある。控訴人主張の破綻は明白である。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
控訴人は不利益事実を告知しなかった。判決が正当にも認定した通り、「本件マンション北側隣地の所有者が旧建物を取り壊して3階建ての建物に建て替える計画があり、建て替えがなされる予定であることを告知すべきであった」にも関わらず、告知しなかった。隣地所有者の建築計画を被控訴人に告知しなかったことについては、控訴人自身認めている。
控訴人には不利益事実を告げなかった故意がある。原告第一準備書面が指摘した通りである(16頁以下)。
消費者契約法4条2項の「故意に告げなかった」の「故意」とは、「消費者に契約に向けた動機づけを与えるために、利益となる事実を告げた事業者は、それに関連する不利益な事実の情報も提供すべきであるという本項の趣旨からは」、「当該消費者に不利益な事実が存在することの認識」で「足りると解すべきである」(前掲『コンメンタール消費者契約法』62〜63頁)。それが「隠す」の意味であるとすれば、詐欺の故意と変わりがないことになってしまう。
もっとも、本件の場合、被告の販売担当者は、アルスの4階購入者に対しては、「隣の物置はアルスの完成後すぐに三階建てに建替えられる」と説明し(甲46)、301号室の購入者原告に対しては、北側に隣接する建物(旧建物)を「資材置場」、「倉庫」と説明し(原告本人調書3頁、甲12、甲14−19〜20頁等)、2階の購入者に対しても、「物置」、「倉庫」と説明している(甲45)のである。被告は、「原告に不利益な」事実を「隠した」といっても過言ではない。
一審の関口冬樹証人尋問において裁判官は「そんな不動産を買うわけない。隣に家が建つんだなんて事前に言ったら、値引きしろなりそんなもの要らないといって売れなくなるからでしょう」と話した(関口冬樹証人調書24頁)。その言葉通り、不利益事実を説明すれば売れなくなるから故意に隠したのである。東急不動産の騙し売りは詐欺である。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。控訴人の主張は、証拠に基づかない一方的事実主張や独自の見解に依拠して原判決を論難するものに過ぎず、理由がない。
控訴人は隣地建て替えにより被控訴人住戸が被る甚大な不利益を重要事項に該当しないと主張する。東急不動産は販売時には日照、採光、通風、景観、眺望、閑静さをアルスのセールスポイントとした(後述)。実際、春には被控訴人住戸の窓から桜並木が見えた。
ところが一審において控訴人は、重要事項に該当しないことの理由として、原告住戸の窓は「眺望、採光、景観等企図していない」との常識外れの主張を展開した(被告準備書面2005年7月8日)。この点について原告は以下の通り、反論した(甲第42号証「原告陳述書(二)」26頁)。原審判決が東急不動産の常識外れの主張を採用しなかったことは当然である。
アルスDタイプの窓は一般の住居におけるものと同様、眺望、採光、景観を企図して設置されたものである。そもそも窓とはそのために設置するものである。眺望、採光、景観を企図しないならば窓とはいえない。辞書は窓について下記のように定義する。
・大辞泉(小学館)「部屋の採光・通風などのために壁や屋根の一部にあけてある穴」
・大辞林(三省堂)「採光や通風のために、壁・屋根などに設けた開口部」
ところが裁判時に、東急不動産は突如、窓は「眺望、採光、景観等企図していない」との主張した(被告準備書面2005年7月8日)。「白い黒猫」と同じような詭弁である。一般常識と乖離しており、漫画やコントのネタとしてなら使えそうな主張である。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
重要事項とは「消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」を指す(消費者契約法第4条第4項)。即ち、その点について事実が異なれば契約しなかったと言えるものであれば足りる。
契約の取消とは強い効果を与える権利である。自社物件の品質には全く自信がなく、売ったら売りっぱなしで逃げてきた東急不動産にとってはとりわけ衝撃は大きいものである。故に消費者契約法は取消権の行使期間を僅か6箇月に制限した(消費者契約法第7条)。ことさら重要事項を限定的に解釈する必要性はない。貫かれるべきは消費者保護を目的とした消費者契約法の精神である。
【逐条解説消費者契約法】控訴人が指摘する文献(『逐条解説消費者契約法』)に控訴人が主張する内容の記載があることは認めるが、原判決の正当性には何ら影響せず、その法的評価については争う。逐条解説消費者契約法では重要事項の例として以下を挙げる。
ソフトウェアの携帯端末との連携機能(ソフトウェアがある携帯端末とデータ交換できなかった)
ある携帯端末とデータ交換できるパソコン用の住所録ソフトウェアを購入しようとする一般平均的な消費者であれば、当該ソフトウェアが当該携帯端末とデータ交換できなければ購入を差し控えるはずであり、したがって、「消費者の当該消費者契約を締結するか否かの判断についての判断に通常影響を及ぼすべきもの」に当たる。
住所録ソフトウェアにとって、特定の携帯端末とデータ交換できることは機能のごく一部でしかない。特定の携帯端末とデータ交換できることは住所録ソフトウェアにとって必要不可欠の機能とは言えない。たとえ特定の携帯端末とデータ交換できなかったとしても、住所録ソフトウェアとしての用途を十分に満たすことができる。それがために住所録ソフトウェアの客観的な市場価値が半減するというものでもない。しかし「ある携帯端末とデータ交換できるパソコン用の住所録ソフトウェアを購入しようとする一般平均的な消費者であれば、当該ソフトウェアが当該携帯端末とデータ交換できなければ購入を差し控えるはずであり」、故に重要事項に該当する。
【日照の重要性】マンションを購入する一般平均的消費者にとって日照は一番の関心事である。
マンション購入者を対象とした消費者意識調査では、マンション購入時の判断基準として最も重視されているのは「日照」(25.7%)である。2位「断熱性」19.7%、3位「防犯性」19.4%を大きく引き離している(国土交通省国土交通政策研究所「住宅の資産価値に関する研究」国土交通政策研究第65号、2006年3月、69頁)。
首都圏に在住する既婚男女を対象とした意識調査でも、住まい選びの際、最も重要なのは「日当たり」とする。これは不動産情報ポータルサイト「HOME’S」を運営する株式会社ネクスト(本社:東京都中央区、代表取締役社長:井上高志)が実施したものである(株式会社ネクスト「新築分譲マンションポータルサイト「新築HOME’S」調査報告」2006年7月7日)。
しかも東急不動産は新築マンション「ブランズ文京本駒込」の広告メールで窓の重要性を以下のように力説した(ブランズネットクラブ事務局「ブランズマガジン」2006年9月20日号)。
ところで、窓のない部屋を想像してみてください。息苦しくなるほどの圧迫感を感じませんか?
窓の存在は、たんに通気と採光という機能以上に住まいになくてはならないものだということがわかります。部屋の中から見える外の景色を「借景」にして室内のインテリアを決める事が出来れば、きっと風景に融け込んだ落ち着きのある部屋にアレンジできそうですね。
ブランズ文京本駒込は東京都文京区本駒込5丁目に位置する。15階建てで総戸数43戸(非分譲住戸8戸含む)である。ブランズ文京本駒込は全戸角部屋を売り文句としており、アルスと共通する。北側に窓だけでなく、バルコニーまで設けている住戸もある(1401号室、1501号室等)。2006年8月に竣工したが、2006年10月19日時点で4戸が売れ残っている。10月28日時点では302号室、1401号室の2戸が売れ残っている。
ブランズ文京本駒込の用途地域は商業地域である。JR山手線駒込駅へ徒歩8分、東京駅へは直通16分と謳っている(東急不動産Webサイト「東急不動産の新築分譲マンション:ブランズ文京本駒込」)。都心に位置するマンションであるが、そのマンションの宣伝メールにおいても「窓の存在は、たんに通気と採光という機能以上に住まいになくてはならないもの」とまで言っている。
東急不動産の感覚に基づくならば、原告の受けた不利益は「たんに通気と採光という機能以上」のものである。東急不動産が販売時に告知しなかった隣地建て替えにより、原告住戸は息苦しくなるほどの圧迫感を感じることになる。かつては部屋の中から見える外の景色(洲崎川緑道公園)を「借景」にして室内のインテリアを決めることができた。洲崎川緑道公園の並木に融け込んだ落ち着きのある部屋にアレンジできた。しかし窓が壁に覆われてしまえば、それもできない。
ところが東急不動産は、本件訴訟においては物件の立地や窓の方位を持ち出して、原告の不利益を否定する。販売時には窓のメリットを強調し、都合が悪くなると否定する。東急不動産の矛盾は明白である。東急不動産の主張は本件訴訟対策として捏造したものである。
全体を通して控訴趣意書には東急不動産という組織の無責任体質と当事者意識の欠落が露呈している。実に幼稚でつまらない言い逃れと悪意に終始しており、宅地建物取引業者としての責任意識は皆無である。東急不動産の嘘が次々と露見し、企業イメージを悪くするだけである。
東急不動産は断定口調で原告の損害を否定し、暗に我慢せよと主張するに等しい。しかし問題物件を我慢するか否かは損害を受けた被害者が決めることであって、騙し売りをした東急不動産に勝手に決める資格はない。東急不動産は騙し売りの事実を棚に上げ、「立って半畳、寝て一畳、雨露凌げれば上等」とでも主張するつもりか。
東急不動産は売ったら売りっぱなしという体質から、単に一度締結した契約の取り消しは認めたくないという感情論を主張しているに過ぎない。そのような願望は、消費者契約法の関知するところではないのであって、控訴人の主張は失当極まりないものである。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
原審では進行協議手続(平成17年11月29日)をアルスで行っており、建設中の隣地作業所が原告住居にどれほどの不利益をもたらすものであるのか双方代理人立会いの上で確認している。原審判決の事実認定は実際に現地を五感で確認したものである。原審判決は極めて正当であり、事実誤認はない。
控訴人は不利益事実不告知(消費者契約法第4条第2項)の解釈について、独自の主張を展開するが、結局のところ、実際にどのような場合に不利益事実不告知に該当するかは、個別のケースにおける具体的な侵害行為の態様や程度に応じて裁判所が個々に判断するものである。そして、原判決も本件の具体的事情に即して不利益事実不告知を認定しているのであって、至極妥当な結論と言うべきである。原判決は法令解釈及び事実認定のいずれの点においても何ら不当なものではなく、極めて妥当な判断がなされている。
【都市型マンションの虚偽】控訴趣意書3頁はアルスを「都市型マンション」と勝手に定義する。一方、控訴趣意書4頁では「都心型マンション」という言葉を用いる。何れも用語の定義をせずに用いており、意味不明である。勝手な言葉を持ち出して議論を混乱させることは東急不動産の常套手段である。アルスが都市型マンションであることも都心型マンションであることも争う。
東急不動産がいかなる意味で都市型(都心型)マンションなる用語を使用していることかは不明であるが、アルスは都市の賑わいの対極にある閑静さと緑をセールスポイントとしている。販売時のパンフレット(甲第6号証「Buon Appetito!」)1頁では閑静の文字が四回も使用されている。
第一に大見出しで「閑静な都心にゆったり暮らす。」と記述する。
第二に上記見出しの説明文で「駅と都市と緑、そして閑静な住環境がひとつに結ばれるバランスのとれた地」と記述する。
第三に中見出しで「利便性と閑静な環境に抱かれた、緑に寄り添う暮らし。」と記述する。
第四に上記見出しの説明文冒頭に「「アルス」が誕生するのは、都心の中の閑静な住宅地。」と記述する。
加えてパンフレットには「豊富な緑に心やすらぐ「洲崎川緑道公園」」と記述するのみならず、背景色を緑として、緑を強く印象付けている。東急不動産がアルスを都市型(都心型)マンションとして販売していなかったことは明々白々である。
逆にアルスにはインターネット接続回線やエアコンのような都市生活に必要な設備は一切備わっていない。これらの設備を具備してこそ、都市型マンションと称するに相応しい。因みにアルスの後に販売された東急不動産物件「プライヴブルー東京」(豊洲四丁目)にはインターネット接続回線が標準で設置されている。プライヴブルー東京は東急リバブル住宅営業本部・宮崎英隆がアルスの後に販売を担当したマンションである。
東急不動産がアルスを都市型(都心型)マンションと称する根拠は東京都の区部に立地していることのみである。この定義では築30年以上の老朽化マンションでも都市型マンションとなってしまう。
東急不動産の主張からは、東急不動産が物件の価値を立地環境しか考えていないことが良く分かる。東急不動産は自社物件の品質に全く自信を持てず、他社物件と差別化できないため、立地環境の良さで勝負する道しか残されていない。実際、アルスのセールスポイントも二面採光・通風、洲崎川緑道公園に面する眺望・景観の良さ、閑静さである。全て立地環境に依存する内容である。他にセールスポイントのないアルスにとって、それらが失われれば社会経済的に価値のない物件となる。
尾張名古屋は城で持つが、アルスは立地環境で持っている物件である。最新設備の完備を想起させる都市型マンションとはとても呼べない。アルス東陽町を都市型マンションと呼ぶのは、排水溝をグランドキャニオンと形容するに等しい。控訴人は二面採光等の環境のよさに惹かれて購入を決意したが、都会生活(アーバンライフ)を楽しむことを優先させたい消費者ならば忌避する物件である。
【型ガラス】控訴人住戸の窓に型ガラスが採用されていることは当該窓からの採光・眺望を否定する理由にはならない。既に控訴人は原審において以下の通り、反論した(甲第42号証「原告陳述書(二)」29頁)。引用文中の板ガラス総合カタログは甲第23号証として提出した。
東急不動産は網入り板ガラスにはセントラル硝子株式会社製「菱形はつしもワイヤー」を採用したと主張する。配布物のどこにも製品名は掲載されておらず、説明も受けていないので、原告は承知していない。現在でもアルスの採用されている型ガラスが「菱形はつしもワイヤー」であることを証明することはできていない。
製品カタログでは「主な用途」として「展望台のエレベーターのかごの窓」や「ベランダ」をあげる(セントラル硝子株式会社硝子営業部・板ガラス総合カタログ「菱形ワイヤー・角形ワイヤー・パラライン」76頁)。これらの用途は正に採光・眺望を意図したものである。採光・眺望と飛散防止・耐久性を兼ね備えたものが本製品と言える。実際、型ガラスはアルス全居室のベランダにも採用されている。
従って本製品の採用を理由に「眺望、採光、景観等企図していない」(被告準備書面2005年7月8日)とする被告主張は完全な誤りである。
そもそも三階までが曇りガラスで四階以上が透しガラスである事実は、東急不動産が隣地に三階建てが建てられることを確実に知っていた証拠として原告が主張していたものである。東急不動産が曇りガラスであることを強調すればするほど、二面採光の宣伝文句との矛盾は拡大し、隣地建替えを確実なものと予期していたとの確信を強めるだけである。被告の主張は極めて恣意的であり、合理性は皆無である。
そもそもアルスにおいて三階までが型ガラスで、四階以上が透明ガラスになっている事実は、隣地が三階建てに建替えられることを控訴人が確実に知っていた根拠となるものである。型ガラスを採用した事実は控訴人の主張の合理性を基礎づけるものでは到底ない。
【法律用語の混同】控訴趣意書3頁では「採光、眺望、通風・景観等が問題とされた事案」について言及している。しかし、それらは消費者契約法第4条第2項の不利益事実不告知が争われた事案ではない。東急不動産は無関係の事案を持ち出し、意図的に議論を混乱させようとしているだけである。
それらの事案では売主の説明義務違反を認定する際に宅地建物取引法上の重要事項が援用されることがある(宅建法第47条は重要事項不告知を禁止する)。控訴趣意書では、消費者契約法の重要事項と宅地建物取引法上の重要事項を混同している。東急不動産の悪あがきは明らかである。
しかも東急不動産は宅建法上の重要事項の解釈も誤っている。宅建法が重要事項不告知を禁止するのは購入者の利益を保護するためである。購入者の側に立って購入者の被る損害を思えば不利益情報を告げることは当然である。正しい情報を伝えない東急不動産に購入者の自己責任を問う資格はない。
東急不動産代理人井口寛二弁護士が教授を務める桐蔭横浜大学のコンプライアンス研究センターは重要事項説明について以下のように主張する。
「居住用の物件の取引は、購入者にとっては居住環境を自ら決定するという重要な判断である。そこで、購入者にできる限り多くの情報を与えた上で判断させるという「居住者の自己決定権の尊重」が要請される。それは、宅地建物取引業法が業者に重要事項の告知(条文上は「説明」)を義務付けていることの背景といってよいであろう。業者側は、宅地建物の取引を業とするプロ、購入者側は、「一生に一度」の大きな買い物をする立場なのであるから、業者側に購入者の「自己決定権」を最大限に尊重することが求められるのは当然であろう。」(桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター企業不祥事検討チーム「大阪アメニティパーク土壌汚染問題」季刊コーポレートコンプライアンス第5号、2005年、143頁)。
井口弁護士は訴訟において次回期日を決める際も横浜桐蔭大学での講義を理由に別の日を求めることが多く、裁判長期化の一因となった。それほど大切にされている大学なのだから、同じ大学のコンプライアンス研究センターの主張にも耳を傾けるべきである。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
値引きについては原審で原告が陳述した通りである(甲第48号証「原告陳述書(三)」40頁)。東急不動産の主張は意味不明なだけで、如何なる意味でも証明になっていない。
【二重価格疑惑】中田愛子は原告にアルスを勧めた当初より、値引きの意向を示していた。値引きをする代わりに、6月中の契約締結を求めた。これは自らの営業成績のために期末(6月末)までに売り上げを立てたいとのことであった。
中田愛子は原告が交渉する前から値引きを持ちかけており、今から考えると二重価格であったと判断する。他のマンション住民も原告と同様な形で値引きを受けている(二階購入者の原告宛メール2006年3月25日)。「契約前の話し合いの段階でかなり早い時点で値下げを提示してきました。他の不動産を回ったときは決してそのようなことはありませんでした」とする。
悪質リフォーム業者の営業手法としても以下が紹介されている。「最初の見積もりから一気に減額したことについて、特別に安くしたので他言しないようにとも念を押されたという。減額したといっても、まだ法外な価格であることを知られないようにするためだ」(中村幸安、建築Gメンが暴く!!欠陥住宅59の手口、日本文芸社、2004年、127頁)。
本文書は中田が早い段階で値引きを原告に持ちかけていたことを裏付ける証拠である。被告の値引きが最初から二重価格であることを示す証拠である。中田愛子が原告に値引きについて口外しないことを求めたのも、二重価格の露見を防止するためである。
【申込みの強弁】控訴趣意書では乙第13号証を引用し、被控訴人が6月22日に申込みしたと強弁していた。これについても既に原告が反論している(甲第48号証「原告陳述書(三)」41頁)。
当事者尋問の場において井口弁護士は本書面を持って原告が申込をしたと強弁したが、本文のどこにも申込とは書かれていない。原告は中田愛子から口頭で「値引きをするから口外しないように」と頼まれたことは記憶している。しかし井口弁護士が主張するように、これをもって契約した覚えはない。原告は井口弁護士が強弁した意味合いの書類は書いていない。そもそも重要事項説明は6月26日に行われた。
宅地建物取引業法は宅建業者に契約成立までに重要事項の説明を義務付けている。消費者は重要事項説明の内容を踏まえて契約を締結するか判断する。最終的に購入するか否かの判断は契約書、重要事項説明書、管理規約、長期修繕計画を受領し、内容をよく確認すると同時に周辺環境、建物の性能、最終資金計画を確認した上で行う。
東急不動産が乙第13号証の「確約」をもって契約締結又は何らかの契約上の拘束力が発生したと強弁するならば明白な宅建業法違反である。原告は既に東急不動産及び東急リバブルによる本件騙し売り行為を宅建業法第47条違反(重要事項説明義務違反)と主張している。正義感の欠如した悪徳不動産業者にとっては勲章なのかもしれないが、新たに宅建業法第35条(重要事項の説明)及び第45条(守秘義務)違反が加わると主張する。
乙第13号証は原本ではなく、コピーである。コピーは操作ができる。今までの被告提出証拠には複数の文書を貼り付けて合成したとしか考えられない操作の後が確認できる(乙第6号証「井田真介陳述書」、乙第9号証「SHOW建築設計事務所・金井昭彦文書」のフォーマット)。乙第13号証の真正性は原本でなければ判断できない。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。原審判決が正当にも認定した通りである(11頁)。
東急リバブルの従業員で本件マンションの販売担当者であった中田は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件マンションの北西角の本件建物の窓から洲崎川緑道公園が望める旨告げて眺望の良さを強調したほか、原告に配布した本件マンションの「Buon Appetito!」((伊)たっぷり召し上がれ)と題するパンフレット(甲6)、図面集(甲15)及びチラシ(甲11)に記載されている本件建物の採光や通風の良さを強調し、これらのパンフレット、図面集及びチラシにも本件マンションの眺望・採光・通風の良さが謳われていること、本件建物の眺望・採光・通風は、本件売買契約の対象物である本件建物の住環境であること等に徴すると、被告は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件建物の眺望・採光・通風といった重要事項について原告の利益となる旨を告げたというべきである。
東急不動産は販売時には日照、採光、通風、景観、眺望、閑静さをアルスのセールスポイントとした。下記証拠記載の通りである。
· 甲第6号証「Buon Appetito!」
Ø 「豊富な緑にたたえられた「洲崎川緑道公園」に面する3方を道路や公園に囲まれた開放感のある立地です」
Ø 「2方向からの通風・採光に配慮した、2面バルコニーやワイドスパンタイプも多数採用しています」
Ø 「駅と都市と緑、そして閑静な住環境がひとつに結ばれるバランスのとれた地」
Ø 「利便性と閑静な環境に抱かれた、緑に寄り添う暮らし」
· 甲第11号証「マンション選びのポイント」
Ø 「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」
Ø 「全戸角住戸!2面以上の開口・採光を確保!」
· 甲第15号証「図面集」:「風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」
アルスには上記セールスポイントの他に特徴はなく、上記セールスポイントが失われれば価値はない(甲第14号証「原告陳述書」16-17頁)。
【図面集】控訴趣意書では甲第16号証「図面集冊子版」を引用する。甲第16号証は被控訴人が契約締結後に東急リバブルから受領したものである(原告証拠(甲15〜42)説明、平成17年8月31日)。被控訴人は契約締結前に甲第16号証を見ていない。よって甲第16号証に何が書かれてあったとしても、その内容を了解して契約を締結したことにはならない。控訴趣意書7頁にも「被控訴人は、甲11、甲12、甲15等のパンフレットを受領していた」とあり、甲第16号証を受領していないことは認めている。
契約締結前に被控訴人が東急リバブルから受け取った図面集は甲第15号証「図面集プリント版」であった。甲第15号には控訴趣意書が引用する「明るいバルコニーに面した云々」等の説明文は一切記載されていない。
既に原審において原告が陳述した通りである(「原告陳述書(二)」15頁以下)。
プリント版と冊子版には種々の相違があるが、これらはむしろ指摘されて判別できるものである。両者の内容は表紙が全く同じであるなど、ほとんど同一内容であり、一見すると内容的には見分けがつかない。形態(冊子、プリント)が異なるだけで、同一内容のものを別形態にしただけと判断しうるものである。一般の消費者は特別な説明がなければ、受け取った時点でまず同一内容と思い込んでしまう。
原告にとって冊子版はプリント版の内容を冊子化したものという認識であった。契約者に対して冊子として提供されたものと考えており、東急リバブルからもそれに反する説明を受けていない。図面集冊子版を渡された際に、東急リバブルから「以前、お渡しした図面集とは異なるものです」などの説明は全くなされていない。
東急不動産は勧誘時と契約締結後で異なる資料を消費者に渡した。そして裁判になると販売時には全く使用していなかった資料を持ち出して正当化の根拠にする。騙し売りの完全犯罪にかける東急不動産の用意周到さには驚くばかりである。筋金入りの悪徳業者である。
【図面集の御都合主義】東急不動産がその主張で援用する図面集については変遷がある。被告準備書面(平成17年7月8日)2頁では乙第1号証を引用した。そこでは乙第1号証を「原告を含む顧客に交付した」と主張する。しかし控訴趣意書では甲第16号証を引用する。乙第1号証はどこにも出てこない。
一審において原告は乙第1号証を受け取っていないことを主張した。加えて乙第1号証は八階に201号室があることや建築確認日付が建築着工日の後であること等の内容の異常性を指摘した(甲第42号証「原告陳述書(二)」17-21頁)。そのため、東急不動産が訴訟を有利に進めるために図面集を捏造して乙第1号証として提出したとの疑いを強く抱いている。
東急不動産は一審で乙第1号証の問題を指摘されると、控訴趣意書では甲第16号証に乗り換えた。甲第16号証は乙第1号証とは異なるものであることを立証するために提出したものである(原告証拠(甲15〜42)説明、平成17年8月31日)。その甲第16号証を持ち出して破綻した主張を続けようとする。東急不動産は恥知らずである。
【東急不動産の非常識】東急不動産は北側窓から日照があるという事実を常識では考えられないと主張する(控訴趣意7頁)。東急不動産の常識が常識では考えられないものである。東急不動産は北側にある部屋は終日、日が当たることなく真っ暗であると主張するつもりか。東急不動産は直射日光と日照の区別もできないのか。北向きの部屋では直射日光とは違う穏やかな光が落ち着いた雰囲気を醸し出し、木陰にいるような心地よさ、情緒ある暮らしを演出する。
一審においても東急不動産は窓が採光を目的していないと常識外れの主張を展開しており、控訴人の常識外れは十分に分かっている。今更、東急不動産の常識外れに驚きはしない。しかし、自らの常識外れに基づいて被控訴人の常識を非難するならば沈黙するわけにはいかない。
東急不動産は問題物件を騙し売りして被控訴人に財産的損害を与えるだけでは飽き足らず、被控訴人の人格まで貶めるつもりか。東急不動産は他人の常識を批判する前に自らの常識を省みるべきである。
東急不動産は不服があるならば確実な証拠を提出して、原告の主張を論破すべきである。具体的な論理に整った論理的な展開も出来ないくせに、相手のことは常識外れと誹謗する。具体的根拠を示してから常識を語るべきである。控訴趣意書は恣意的な常識を持ち出した結果、論理が混乱し、理解することそれ自体が困難である。主張自体失当と言わざるを得ない。
既に原告は以下の通り反論した(甲第48号証「原告陳述書(三)」20頁)。
「まず誤解している人が多いのは、北向きは暗いと思っていることだ。北向きは決して暗くはない。北向きは日陰ではないのである。前面に障害物があって日陰になる南向きの住戸よりもむしろ明るいくらいなのだ」(稲葉なおと『誤解だらけのマンション選び2000-2001年版』講談社、1999年、22頁)。
北側は日中の明るさが安定しているため、気持ちが落ち着く。そのため北向きの部屋は勉強部屋や書斎に推奨されている(林望『書斎の造りかた―知のための空間・時間・道具』光文社2000年)。住宅事業を営む株式会社アキュラホーム(さいたま市大宮区)はWebサイトで「頭を使い、集中力を高める必要性がある勉強部屋や書斎は「北」の方角が最適」と記述する。
逆に南向きのように直射日光に照射される部屋では畳や壁紙が色あせてしまうとのデメリットがある。近時は紫外線の害も指摘されており、地球温暖化も進むとされる。特に書斎や勉強部屋には不向きである。日が当たって眩しいと考え事がしにくくなる上、暑いと集中力が続かない。本も焼けてしまう。
東急不動産は本訴訟においては北向き住戸には価値がないかのように主張する(関口冬樹証人調書26頁)。責任逃れのための言い逃れではなく、本気で主張しているならば住宅についての自らの無知を曝け出しているだけである。住宅事業者としての資格はない。
東急不動産自身、北向き住戸を堂々と販売している事実も指摘した(甲第48号証「原告陳述書(三)」20頁以下)。
【東急不動産の北向き住戸】東急不動産の物件にとって北向き住戸は珍しいものではない。東急不動産は自ら北側に窓やベランダを配置した住戸を販売している。従って北面であることを理由として物件の価値を貶める東急不動産の主張は一切成り立たない。
書籍でも以下のように指摘される。「東急不動産の高級ブランドである「プレステージ」の中でも、億ションと呼べる物件になると、やはり南向きよりもプライバシー確保のほうが重要という姿勢が図面から読み取れる」(稲葉なおと『誤解だらけのマンション選び2000-2001年版』講談社、1999年、24頁)。
実際、原告が調べただけでも以下の東急不動産物件で北向き住戸が確認されている。
クオリア恵比寿パークフロント(渋谷区広尾一丁目、2006年8月竣工予定)のEタイプは北側に開口部とバルコニーを設置する。しかも図面集では「バルコニーに面した明るいキッチン」と記述する。この「明るいキッチン」が面しているバルコニーは北側にある。即ち北側から採光を得た結果、キッチンが明るくなることを意味する。
(以下、図面と共に東急不動産の北向き住戸を紹介している)
裁判官の心証を有利な方向に向けるためとはいえ、極めて非現実的で一方的な書面を弁護士である井口寛二が調査もせずに堂々と文書にしたためているという事実が信じがたい。
控訴人の主張は認められない。控訴人主張は既に原審で潰れている。
控訴人の主張は販売員がパンフレットを見せながら説明する新築マンション販売の実態に反している。原告第一準備書面記載の通りである(8頁以下)。
被告は、前掲『逐条解説消費者契約法』(67頁)を引いて、「甲6、甲11の広告物、宣伝物、パンフレットの類の交付は、前同法4条2項所定の『勧誘をするに際し』に該当しない(これは立法者の解釈である)」とするが、被告指摘の記載は、「特定の者に向けた勧誘方法は『勧誘』に含まれるが、不特定多数向けのもの等客観的にみて特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接に影響を与えているとは考えられない場合」の例示であり、被告の理解には疑問がある。少なくとも、販売担当者が当該消費者に該当パンフレットを示しながら説明する場合には、『勧誘』に該るというべきである(参照、日弁連消費者問題対策委員会編『コンメンタール消費者契約法』商事法務54〜55頁)。
東急不動産は自社の金儲けが第一である。決して消費者のためにはならない。消費者の不利益は告げない。見舞いの言葉すらない。嘘をついて逃げ回る。やがて諦めて泣き寝入りするのを待つ。これが東急不動産及びその子会社である東急リバブルの実態である。被控訴人は社会正義のためにも決して諦めない。
東急不動産は法を犯した。にもかかわらず、現在に至っても反省の色すらない。それどころか購入者の正当な権利であるアフターサービスすら係争中であることを理由に拒否する(甲第42号証「原告陳述書(二)」29頁)。東急不動産による騙し売りが繰り返されないため、消費者保護のため、控訴の棄却を求める。
第一審において、原告(被控訴人)は自らの正当性を明らかにすべく、「鞠躯尽力、死而後已(鞠躬尽力し、死して後已まん)」(諸葛亮『後出師の表』)の思いで訴訟に臨んだ。人を人足らしめている条件の一つが自由である。東急リバブル東急不動産の騙し売りは消費者の選択の自由を奪うものである。自由を勝ち取るための戦いこそ人として当然参加すべき戦いである。この点において原告は二十世紀、スペイン内戦に参加したアーネスト・ヘミングウェイやアンドレ・マルローと同じ地平に立っている。
被告(控訴人)の恣意的かつ非合理的な主張に対しても、原告は真摯に受け止め、誠意をもって反論及び根拠の提示を行ってきた。しかし、原告の反論に対し、被告は、その多くに対して誠意ある回答を示すことなく、和解協議も被告から拒否し、第一審は結審した。
弁論準備手続き(平成17年9月6日)においては裁判官から以下の通り、反論の方法まで示唆を受けている。
裁判官「反論があれば出してください」
被告代理人井口寛二弁護士「どのような形で反論するのが望ましいでしょうか」
裁判官「文書での主張でいいでしょう。証拠抗弁や陳述書、いろいろあります」
しかし被告が明確に反論を出すことはなかった。被告(控訴人)の主張や態度は不可解極まりない。裁判に勝つということよりも、以下に示すように、単に裁判を長引かせるためだけの戦術を繰り返した。
第一に被告は中身のない答弁書(平成17年3月11日)を提出した。「請求の原因に対する答弁」では、「原告の請求を棄却する、訴訟費用は、原告の負担とするとの判決を求める」としながら、「請求の原因に対する認否」では「追って主張する」とするのみで具体的な主張を何ら明らかにしていない。ここでは不動産売買契約の成立さえ認めていない。
一般に被告は、争いようのない明らかな事実以外は争ってくるものである。しかし東急不動産の場合は争いようのない事実さえ、肯定しない。東急不動産は主張が不当である以前に非礼を極めている。答弁書読了直後の原告の戸惑いは想像するに余りある。
第二に被告は第一回口頭弁論(平成17年3月23日)に欠席した。被告側が誰一人いないという異常事態の幕開けとなった。被告側は出廷せず、事前に提出した答弁書の中身もないものであるため、具体的な話はできなかった。即ち被告は審理一回分を時間稼ぎできたのである。
第三に弁論準備手続き(平成17年5月27日)において次回日程を決める際に、被告代理人井口寛二弁護士は「株主総会後にして欲しい」と本件とは全く関係ない事情で先延ばしにすることを求めた。
第四に原告本人の当事者尋問は平成17年12月22日に行う予定であったが、被告代理人・井口寛二弁護士の私事都合により、2006年2月8日に延期された。許し難いのは被告側が当事者尋問を延期した間に証拠収集をしていたことである。即ち、当事者尋問の延期は東急不動産の証拠収集のために企み、計画したものであった。
この点について原告は以下の通り、糾弾した(甲第48号証「原告陳述書(三)」)。
乙13号証は原告本人への当事者尋問の場において被告側が突然提出したものである。本書面のヘッダー部には「2006 02/08 10:20 FAX 03 3463 7815 東急リバブル総務課」と記述されている。これは2006年2月8日10時20分に東急リバブル総務課の番号03-3463-7815のファックスから送信されたものであることを示す。即ち本証拠自体は写しであり、原本ではない。送信先は東急不動産又は被告代理人事務所と推測される。
問題は送信日付である。2月8日10時20分は尋問当日の午前中である。元々、原告本人の当事者尋問は12月22日に行われる予定であった。しかし三名の被告代理人(井口寛二、野村幸代、上嶋法雄)のうちの一人である井口弁護士の私事都合により延期された。
当事者尋問の延期は原告側が望んだことではなく、被告側が要求したことである。延期は原告にとっては想定外の事態であった。一般人にとって証言台に立つことは緊張を要し、勇気を要することである。心の準備が必要である。
原告本人の証言が延期されるならば、原告本人が出廷する必要は全くない。しかし、被告代理人から原告代理人への連絡が当日の開廷直前であったため、原告本人が知ったのは法廷に到着した後である。被告側からもっと早く連絡があれば別の行動がとれたであろうが、後の祭りである。これまでも被告は自ら知っている情報について原告にわざわざ調べさせる等、原告に無駄な労力を費やさせていた。今回の件もその延長線上で理解するのが正しい。この期に及んでも被告は不誠実である。
被告代理人の都合により、延期になることは原告にとってマイナスにこそなれ、プラスになることはない。逆に被告にとっては、この上なく有効な心理攻撃となる。しかし「身内の危篤」と説明されたため、「それは心配なことでしょう」と原告側は一も二もなく承諾した。
ところが被告側は延期中に新たな証拠を収集していたことになる。被告代理人の身内の危篤を口実として延期し、実は時間を稼いだ。延期の影で証拠収集をしていたとなると、母親の危篤という口実自体が怪しいものに思えてくる。訴訟当事者として信義に適ったものと言うことはできない。被告及び被告代理人の民事訴訟手続きに対する姿勢を示すものとして見逃せない事実である。真実ならば親不孝の極みである。
第五に東急不動産は裁判官の和解勧試を時間稼ぎの手段として悪用した。当初、東急不動産は裁判官の和解勧試を明確に拒否した(弁論準備手続、2005年5月27日)。ところが奇妙にも証人尋問終了後になると、応じる姿勢を見せた(弁論準備手続、2006年3月9日)。契約解消(契約を白紙に戻す)という前提の下で双方持ち帰って具体案を検討することになった。
ところが被告代理人は原告代理人に協議には応じられないと通告する(2006年4月4日)。被告代理人から「金額、明渡し期日等の条件を提示せよ」とのファックスが原告代理人事務所に送付されたのが発端である。これに原告代理人が応じ、条件を伝えた(4月3日)。
これに対し、被告代理人は「契約解除を前提とした話し合いには応じられない」と一方的に断った。契約解除を前提とすることは弁論準備手続きで確認していたことである。東急不動産の対応は公正ではない。自分の方から申し出ておきながら失礼極まりない。交渉を実務的に詰めようという雰囲気は皆無であった。東急不動産は巷の噂通りの大嘘つきである。結局、東急不動産は「会社として和解する空気にならない」と主張して協議は打ち切られた(弁論準備手続2006年4月28日)。
東急不動産の戦術は正に以下の内容の通りである。「裁判慣れしているうまい当事者は、和解に応じるようなふりをして最終的には壊してしまう。弁護士もそうである。これで時間の空転をはかれるわけであり、裁判をひきのばそうと思う当事者は、この手が使える」(山口宏・福島隆彦『裁判の秘密』宝島社、1999年、33頁)。
控訴趣意書も何ら新たな問題を提起するものではなく、原審における被告主張の焼き直しに過ぎない。控訴人は単に訴訟引き延ばしの戦術として控訴を提起したものと考えられる。一消費者である被控訴人に対して多大な負担をかけることで、今後、他の騙し売り被害者が消費者契約法違反訴訟を提起することを妨害しようという意図があると思わざるを得ない。実際、アルスに限っても被控訴人と同様、控訴人から騙し売りされた被害者が存在する(甲第45号証)。裁判所におかれては、この点について充分にご留意いただくよう、お願い申し上げる次第である。
原審口頭弁論終了後に新たに判明した事実がある。アルスの構造設計者が一級建築士資格を有していない無資格の人間であることが判明した。アルスの構造設計者は有限会社アトラス設計(渋谷区富ケ谷)の渡辺朋幸代表である(甲第48号証「原告陳述書(三)」)。
アトラス設計は一級建築士事務所であるが、管理建築士の名義を小林昭代・一級建築士としている。渡辺代表自身は一級建築士資格を持っておらず、社団法人日本建築構造技術者協会(JSCA)会員でもない。無資格者が一級建築士事務所の経営や営業を行うことは問題ないが、アルスでは渡辺代表自らが構造設計及び監理を行っている。
第一に建築工事施工結果報告書では構造設計者欄に渡辺朋幸と明記する。建築工事施工結果報告書は工事監理者:(株)SHOW建築設計事務所、工事施工者:ピーエス三菱東京建築支店、建築主:東急不動産の連名で検査機関のイーホームズに提出されたものである(受付日平成15年9月4日)。
設計者:竹内久 (株)SHOW建築設計事務所
構造設計者:渡辺朋幸 (有)アトラス設計
現場代理人(所長):山下洋史
品質管理責任者:なし
第二に工事監理報告書では工事監理組織欄にアトラス設計・渡辺朋幸が構造の工事監理を担当したと明記する。
工事監理全般:(株)昇建築設計事務所 金井照彦
意匠担当:名倉敬
構造担当:(有)アトラス設計 渡辺朋幸
本工事監理報告書は工事監理者:(株)SHOW建築設計事務所、工事施工者:ピーエス三菱東京建築支店、建築主:東急不動産の連名でイーホームズに提出された。イーホームズは2003年9月4日に受け付けている。
尚、工事監理報告書表紙には「提出及び記入は、原則として工事監理者によること」と記載されている。しかし工事監理報告2頁「建築基準法第12条第3項に基づく(工事監理・工事状況)報告書」は株式会社ピーエス三菱の山下洋史・東京建築支店工事第二部所長が報告者である。山下所長は施工会社の責任者である。無資格者が構造の監理をしていた点と合わせ、監理が機能していたか疑わしい。
以上より、無資格の渡辺代表が構造設計に関与していたことは明らかである。設計者と工事施工者を監督する責任は建築主にある(平成十年建築基準法改正法案の国会審議における政府答弁)。即ち無資格者に構造設計を担当させた責任は建築主である東急不動産に帰する。
【無資格者が構造設計することの問題】アトラス設計の渡辺朋幸代表のような一級建築士資格を持たない無資格の人間が構造設計を行うことには重大な問題がある。元請けの設計者に一級建築士がいれば問題ないとする主張は意匠設計と構造設計の相違を認識していない。その種の主張は無資格者の内科診断書を外科医がチェックしたから信用できるという主張と同レベルである。
設計者に一級建築士資格があればアトラス設計・渡辺朋幸代表のような無資格者が構造設計者になっても構わないとする主張は法令の趣旨を無視した詭弁である。無資格者が一級建築士の手伝いをすることはあり得るが、実態としての設計業務を誰が行ったかということが重要である。
確かに建築確認制度は一人の設計者が意匠も構造も設備も担当することを想定して制度設計された。しかし分業化されているのが現状である。意匠の専門家には構造計算をチェックのノウハウがないことが多い。意匠専門の一級建築士・井本雄司氏は「計算内容までは見ない」と言う(「耐震偽造 1級建築士、その実態 分業進み収入格差」毎日新聞2005年12月7日)。
施工結果報告書において設計者欄とは別に構造設計者欄を設けられたことも分業の実情を反映したものである。人命に関わる構造設計の重要性に鑑み、構造設計者を明確にすることを求めている。それ故、姉歯秀次元一級建築士がそうであったように、構造設計を下請けする場合も資格ある一級建築士が担当することが基本である。
経済設計を追求したヒューザー(小嶋進社長)や木村建設(木村盛好社長)、総合経営研究所(内河健所長)でさえ、下請けの構造設計者には一級建築士を起用した。構造計算書には直接名前が出ないからといって無資格者を使って安く上げようとまでは考えなかった。即ち東急不動産はヒューザー以下のデベロッパーである。
東急不動産は居住者の生命財産についていかなる認識の下に建築物を生産してきたのだろうか。「無資格者が構造設計を担当しても、すぐ崩れ落ちることはないから、安心して購入して、我慢して住みましょう」とでも主張するつもりか。東急不動産は羊の顔をしたナチスである。消費者をマンションという名のアウシュビッツへ追い込むつもりか。
【構造計算書は空欄】アルスの構造計算書の構造設計者欄は空欄である。構造計算書は昇建築設計事務所・竹内久一級建築士(弟201774号)名義で作成された。構造設計概要では設計者を竹内久とする。実際の構造設計者は渡辺朋幸であるが、無資格者を書くわけにはいかないため、空欄で誤魔化したものと考えられる。
構造計算書によると、保有水平耐力(Qu)/必要保有水平耐力(Qun)はX方向で1.07、Y方向で1.03である。建築基準法施行令は、建物の保有水平耐力が必要保有水平耐力以上でなければならない、と定める。つまり「保有水平耐力(Qu)/必要保有水平耐力(Qun)」が1.0以上の強度が必要になる。この値が1以上あれば震度6強の大地震であっても、建物が倒壊せずに人命を守ることができる。耐震強度偽装物件は実際の値が1を下回ったために問題になった。東急不動産物件は最低基準を僅かに上回る程度に過ぎない。建築基準法ギリギリの経済設計を追求したマンションである。
【江東区も不審感】東京都江東区はアルスに不審感を表明する。無資格のアトラス設計・渡辺朋幸代表が東急不動産物件「アルス東陽町」の構造計算者である件につき、江東区都市整備部建築課構造係の稲岡氏から回答が出された(2006年11月6日)。
江東区はアルスの構造設計者はアトラス設計・渡辺朋幸ではなく、竹内久・一級建築士でなければならないとする。しかし実際には無資格の渡辺朋幸がアルスの構造設計を担当した。これは株式会社昇建築設計事務所自身が認めていることである。江東区の問い合わせに対し、昇建築設計事務所の金井照彦代表は「竹内久が構造設計者」と回答したとされるが、これは偽りである。昇建築設計事務所はアトラス設計に対し、構造設計を委託している。工事監理報告書等から渡辺朋幸代表自身が構造設計を担当したことは明らかである。
昇建築設計事務所としては「無資格者の渡辺朋幸が構造設計者です」と開き直ることはできないため、「本来、竹内久と記載すべきところを渡辺朋幸と記載してしまった」と記載上のミスに矮小化させようとしている。無資格者が構造設計者であることを認めるより、報告書に虚偽を記載したとした方がダメージは少ないと考えたのであろう。虚偽報告の重さを考えていない。昇建築設計事務所・金井照彦代表は会社代表であるにもかかわらず、コンプライアンス意識は低い。
実際にアルスで構造設計を行った者は無資格の渡辺朋幸である。昇建築設計事務所が主張するように竹内久を構造設計者とするならば、竹内久は一級建築士資格の名義貸しをしたことになる。昇建築設計事務所及び建築主である東急不動産の違法性は益々濃厚となった。
江東区都市整備部建築課構造係回答内容は以下の通りである。
ご指摘のアルス東陽町につきまして、確認申請図書・建築工事施工結果報告書等を調査いたしましたところ、工事着手に先立ち提出された確認申請書に添付されている構造設計書の表紙には、設計者である(株)SHOW建築設計事務所の竹内久氏の記名・捺印がありました。しかし構造設計概要書には本来記載されるべき構造設計者の氏名及び所属会社の記載はありませんでした。
その後、検査時に提出された建築工事施工結果報告書の構造設計者名には、アトラス設計事務所の渡辺明幸氏の記載がありましたが、本来は建築確認申請書に添付される構造設計概要書に記載されている氏名及び所属会社を記入することとされているものであり、記載について疑問の残るところです。
不明確な点が多いため、この件について、設計者である(株)SHOW建築設計事務所の代表である金井照彦氏に電話にて事情を問い合わせたところ、構造設計者は確認申請書に記名・捺印している竹内久氏であるとの回答を得ました。
以上のことから判断しますと、構造設計概要書及び建築工事施工結果報告書の構造設計者名には(株)SHOW建築設計事務所の竹内久氏の記名・捺印がなされるべきであったのではないかと考えられます。
また、建築士資格及び建築士事務所登録につきましては、地方自治体である江東区には権限がありませんのでそれぞれの権者である国土交通省・東京都にご指摘の件につき報告をいたしたところです。
以上が調査結果です。よろしくご理解お願いいたします。
【取手市議会】アルスは耐震強度偽装事件に絡み、茨城県取手市議会でも取り上げられた(2005年12月2日)。取手市内に建設するマンション「ロータリーパレス取手」(茨城県取手市井野台三丁目)をアトラス設計が設計監理することに対し、同じアトラス設計が構造設計したアルスを引き合いに出して不安の声が出された。
質問者の議員はアルスの構造設計者であるアトラス設計が設計者であるから、ロータリーパレス取手を安全確認すべきと要求する。即ち議員はアルスに構造上の不安があることを前提としている。
平成17年第4回取手市議会定例会会議録(第3号)
中村修議員質問(266頁)
取手市内において建築予定のマンションで、設計が下河辺建築事務所よりアトラス設計に変わったとありました。私も現地も新聞も確認をさせていただきましたが、執行部の方は現在調査中ということもありましたが、アトラス設計も東京のアルス東陽町というマンションにおいてイーホームズの孫請けをしているという業者とお聞きしております(引用者注:原文のまま。実際はアトラス設計・渡辺朋幸代表は構造設計者で、イーホームズは検査機関。アトラス設計は昇建築設計事務所の下請けで、イーホームズとは契約関係にない)。そこら辺は調査をしていますでしょうか。早めに調査をし、安全を確認してください。大切なことですから、もう一度言わさせてもらいます。早めに調査をして、安全を確認していただきたいと思います。
鈴木俊夫・都市整備部長答弁(268頁)
市内に建設しておりますマンションの件でございますが、これにつきまして、私どもの方に、民間機関、株式会社東日本住宅評価センターを通じて、当初、下河辺建築設計事務所ということでありました。私どもとしましても安全を確保するというために、当然この会社につきましては、今話題となっております21件の設計会社の一つであるということから確認をとっております。その後、アトラス設計事務所ということで、これは有限会社でございますけれども、そこに設計事務所の変更がなったということでございます。私どもの方は概要書で確認をしているわけでございますが、今後、担当を通じ、東日本住宅評価センターの方への構造計算書の確認ということで出向きたいなと、このように考えております。
ロータリーパレス取手は元々、株式会社下河辺建築設計事務所が設計監理であった。しかし耐震強度偽装事件発覚後、設計監理はアトラス設計に変更された。下河辺建築設計事務所は耐震強度偽装事件発表当初(2005年11月17日)から偽装物件の設計者として社名が公表されたため、事業継続が困難になったものと推測される。下河辺建築設計事務所が設計監理した以下の物件で耐震強度偽装が確認されている。
· グランドステージ船橋海神
· グランドステージ池上
· グランドステージ赤羽
· グランドステージ江川
· グランドステージ東陽町
· グランドステージ鶴見
· グランドベイ横浜
加えて下河辺建築設計事務所は非姉歯物件で耐震強度不足と発表されたセントレジアス鶴見の設計者でもある。セントレジアス鶴見の構造設計は株式会社田中テル也構造計画研究所が行った。田中テル也構造計画研究所もアトラス設計の渡辺朋幸代表と同様に無資格の従業員が構造設計を行っていた(「無資格社員が構造計算 横浜の強度不足マンション」朝日新聞2006年02月19日)。
後日、下河辺建築設計事務所は東京都から設計事務所の登録を取り消された(2006年2月9日)。アトラス設計が設計監理を引き継いだことには以下の不審点がある。
第一にアトラス設計が下河辺建築設計事務所を引き継いだ事実は、両社には密接な関係があることを裏付ける。下河辺建築設計事務所は後述の通り、多くの偽装物件を設計しており、ヒューザーとの取引も多い。即ち偽装を見破ったとされるアトラス設計と偽装関与者に関係があることになる。尚、アトラス設計は下河辺建築設計事務所の下請けとして、株式会社ヒューザー(小嶋進社長)物件「グランドステージ川崎」の構造設計を担当していた。
第二にアトラス設計は構造の設計事務所であるが、設計監理を担当するということは意匠も含めて行うことになる。アトラス設計に意匠設計の能力があるか疑問である。既にアトラス設計では無資格の渡辺朋幸代表が構造設計を担当していることが判明している。アトラス設計には建築に対するルーズな姿勢が感じられる。
【不利益事実不告知】建物の構造が建物の売買において重要事項であることは言うまでもない。控訴人は本件売買契約締結時にアルスが設計住宅性能評価を取得したこと等、建物の構造について利益となる事実を告げた。しかし建築主である控訴人は、実際の構造設計者が一級建築士資格を有していない無資格者であることを告げなかった。これにより、一級建築士資格を持たない人間が構造設計をしたとの事実が存在しないものと被控訴人は誤認し、それによって不動産売買契約締結の意思表示を行った。建物に構造上のリスクがあるならば売買契約を躊躇することは当然である。
以上より、これは消費者契約法第4条第2項の不利益事実不告知に該当するため、隣地建て替えの不利益事実不告知と合わせ、売買契約取り消しの意思表示を改めて行う。
原審判決が正当に命じた通り、本件売買契約締結により、被控訴人住戸は控訴人に引き渡すことになる。正当な理由のない控訴によって未だ引渡しは実現していないが、原告は善良な管理者以上の注意を持って管理しており、物件の価値は竣工時よりも向上している。控訴人は安心して引渡しを受けることができる。
【管理会社変更】アルスでは竣工以来、控訴人の子会社である株式会社東急コミュニティーが管理業務を受託していた。これは区分所有者の意思に基づくものではなく、売買契約時の条件として控訴人から指定されていたものである。いわば抱き合わせ販売であった。
ところが東急コミュニティーの業務は杜撰であった。管理委託契約書では点検回数を年四回と定めているにもかかわらず、実際は年一回しか実施していない等、明確な契約違反も存在した。東急コミュニティーの問題の一部については甲第48号証「原告陳述書(三)」の「10 東急コミュニティーのデタラメな管理」で論じている。
東急コミュニティーの業務が杜撰であるため、アルス管理組合は平成18年9月30日をもって、東急コミュニティーとの管理委託契約を終了し、別の管理会社と契約した。これにより、契約内容を適正化しただけでなく、管理会社に支払う管理委託費を年間約120万円も削減することができた。昨今、「マンションは管理を買え」と言われる通り、管理の質がマンションの資産価値を左右する。東急コミュニティーを僅か三年で切ったことでアルスの資産価値は大いに向上した。
デタラメな管理をする東急コミュニティーから被った傷は深く、管理会社変更によって一朝一夕に変わるものではない。むしろ東急コミュニティーが隠蔽していた問題が新しい管理会社の調査によって次々明らかになっていることが現実である。例えば竣工時に施工会社から引き渡された書類が欠けていることや駐輪場料金の徴収金額と実際の使用者数に齟齬があることが明らかになっている。しかし問題に目をつぶることはできず、長期的に見れば資産価値を向上させることになる。
【東急コミュニティー、駐輪場使用料徴収せず】東急コミュニティー東京東支店はアルスの駐輪場使用料を適正に徴収していなかった。徴収されていなかったのは駐輪場8台分の使用料である。月額料金300円の駐輪場5台分と月額料金200円の駐輪場3台分で、合計月額2100円の使用料を徴収しなかった。年間では25200円になる。居住者は駐輪場使用申込み手続きを行っていたが、引き落としには反映されていなかった。東急コミュニティーが管理を委託している間、杜撰な会計を隠蔽し続けたため、管理会社を変更して初めて発覚した。
【排水通気管の通気不足】マンションの資産価値を向上させる動きとして、排水通気管の通気不足の問題がある。アルスの一部住戸では排水時にゴボゴボと音がする騒音に悩まされていた。これは排水管の通気管に問題があると考えられる。
建物の排水管は下水道とつながっているため、下水ガスや悪臭で充満している。この臭いを防止するため、「排水トラップ」という仕組みがある。排水トラップは装置内に水が溜まっていることにより、排水管から悪臭が室内に漏れるのを防止する。配水管には曲がっている部分があり、そこに水(封水)を溜めておく。流れてきた排水は必ずトラップを通過するため、水は流れても空気は通れない。排水トラップの水が蒸発してなくなると、トラップが機能を発揮できなくなり悪臭が排水管から漏れてしまう。
排水は通常、共通の排水管に接続される。排水を流すと、上流側の配管内空気は引っ張られ、下流側の空気は押される。このため器具のトラップの水が押されたり、引っ張られたりしてゴボゴボいう音が発生し、酷い場合はトラップの水が抜けて臭気が出てくる。これを防ぐため、排水管には外部の空気に通じる通気管を設け、配管内で圧力変動が起こらないように配慮する。手抜き等の理由により、十分な排水通気管が設置されなかった場合、排水時のゴボゴボ音や臭気の逆流に悩まされることになる。
居住者は入居時からゴボゴボ騒音に悩まされており、アフター点検に際し、調査を要請した住戸もあったが、専門的な説明で誤魔化された。きちんとした調査もされなかった。ほったらかし、無責任な回答、時間稼ぎは東急不動産の常套手段である。
住民間で話し合った結果、共通する問題を抱えていることが確認され、管理組合として控訴人に確認を求めた結果、通気管の一部で直径が細くなっている部分があり、通気不足が原因であることが判明した(東急不動産株式会社住宅事業本部「お知らせ」2006年8月31日)。
瑕疵を補修するのは控訴人の務めである。控訴人がその場しのぎではなく、誠実に補修に応じるのか予断を許さないが、問題を認めさせただけでもマンションの資産価値を向上させる上で一歩前進といえる。
【管理会社変更で不具合発覚】アルスではアフター点検が管理組合へ連絡も報告もなされずに実施されたことが判明しており、共用部の瑕疵が未補修のまま放置されている状況である。この点についても新しい管理会社に点検を依頼し、控訴人に補修を要求する方向である。
アルスでは管理会社の東急コミュニティーの業務が杜撰であったため、管理会社を独立系に変更して引き受け外観点検を実施した(2006年10月4日)。その結果、東急コミュニティーの点検では指摘されなかった新たな問題が発見された。
· 屋上踊り場手摺壁にひび割れが発生している。突然ひび割れが発生したものとは考えられず、東急コミュニティーの点検が形だけのものであったと考えられる。
· エレベータ前の防火シャッターが収まりきっていない。東急コミュニティーが消防点検をきちんとなされていたのか確認する必要がある。
· 連結送水管送水口が樹木に隠れている。東急コミュニティーが植栽の手入れを全くしていなかったためである。
· 北西側植栽壁のタイルが欠損している。
· エントランスアプローチ西側通路天井の排水管周りにシミ跡がある。漏水が原因と推測される。瑕疵でないか調査する必要がある。
· エントランスアプローチの建物銘板の建物名称が読み辛い。東急不動産の他の物件や他社物件と比較して判断する必要がある。
· エントランスアプローチの石貼壁の石面にシミがある。また、シール目地が硬化していない。シール材の部分が石部に浸透して黒い影が出ている。施工時の硬化不良又は硬化剤が入っていないことが原因と考えられる。竣工から三年経過しても固まっていないことは通常ならば考えられない。エントランスの不具合であり、顔にシミがあるようなものである。
· 北側通路の塀が泥跳ねにより汚れている:降雨の際に建物の壁を流れてきた雨水が梁の所より落下して植栽部の土を跳ね上げたことが原因と考えられる。設計時の考慮不足と考えられる。
· 北側通路植栽部に水が溜まる。水が溜まってしまうのは設計時の考慮不足と考えられる。
· 南側通路の枡枠廻りの目地砂が少ない。目地砂がなくなることで床の化粧ブロック石が全体的に凹凸になる可能性がある。時間の経過によって、そのようになることが予想される材料を用いたのならば考慮不足になる。
· 資源ゴミ置き場、可燃ゴミ置き場、不燃ゴミ置き場のシリンダー錠が破損している。扉を開けるとシリンダー錠とぶつかってしまう仕様になっていることが原因である。設計時の考慮不足である。
· ゴミ置き場の仕分け表示が破損している。仕分け表示が扉を開ける時に別の扉と接触し得る場所に貼られていることが原因である。
【小括】既に甲第48号証「原告陳述書(三)」でも一部については紹介したが、アルスでは問題が続出している。他社物件では考えられない瑕疵が次々と明らかになっている。控訴人の対応も粗末であり、売ったら売りっぱなしの体質を見事に露呈している。被控訴人が契約取消を求めることは当然である。
原審で明らかになったとおり、原告は管理組合の理事長を務めていた(甲第48号証「原告陳述書(三)」)。
井口弁護士は原告がアルス管理組合の理事長に就任したと言及した(原告本人調書19頁)。誰が管理組合の役員であるか、本来は東急不動産が知る筈のないことである。東急不動産の子会社であり、アルスの管理を受託している東急コミュニティーが教えたものであることは容易に推測できる。管理委託契約書17条では委託業務に関して知りえた情報について管理会社に守秘義務を課しているが、これまでも東急コミュニティーは居住者よりも親会社の利益を優先させる行動をしてきた(甲第42号証「原告陳述書(二)」8頁)。
被控訴人は管理組合理事長として上記問題の解決に少なからぬ努力を果たしている。これら管理組合活動がアルスの資産価値向上に寄与したものと自負している。被控訴人としては不動産売買契約を取り消し、建物を引き渡す以上、ベストな形で引き渡そうと努力している。控訴人としては被控訴人の心尽くしを快く受け取ってもらいたいものである。
控訴趣意書中、その余の控訴人らの主張に対しては、被控訴人は原審における主張及び原判決の判示に特段付加するものはない。控訴人らのそれら主張に対しては、何れも原審で被控訴人が反論し、原判決も双方の主張を考慮した上で説示している。従って控訴人らのそれら主張は原判決の結論に影響を及ぼすものではない。
原審判決の示した消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)の解釈及び本件事案における具体的な判断は正当である。控訴人は独自の見解に基づいて原審判決を論難するに過ぎず、控訴人の主張は失当である。
本件は既に原審において十分な審理が行われ、審理は尽くされた。原審裁判官は最終口頭弁論(2006年6月28日)において双方追加の主張立証がないことを確認した上で結審した。控訴趣意書は原審判決の事実認定を非難するが、一審判決を軽視するものでしかない。控訴審の審理遅延も招きかねないものである。
従って控訴審において新たな証人尋問等の必要はない。控訴人が、いかなる新証拠を提出する意図があるかは控訴趣意書からは読み取れないが、一審結審前に提出できたものであるならば、適時提出主義(民事訴訟法156条)に反する。一消費者対大企業という本件訴訟の性質に鑑み、記録を完備している筈の大企業である控訴人側に原審結審までに提出できなかった証拠があるとは考えられない。早急に本件を結審され、控訴人の控訴を棄却する判決を下されたい。
被控訴人が発する言葉は、本件東急不動産騙し売り事件が発覚してから、共に問題解決を模索している住民や東急リバブル東急不動産による同種被害に遭われた購入者ら多くの方々の励ましや支援があってのものである。決して一人の思いではない。東急不動産に騙し売りの責任を負わせることは被害の有無に関わらず、多くの方々の願いである。
裁判官閣下におかれては、一消費者である原告の切実な思いと、一生に一度あるかないかの買い物で問題物件を騙し売りされた原告の置かれた窮状をご理解下さり、控訴を棄却下さるよう衷心よりお願い申し上げる次第である。裁判官閣下の英断を心から期待する。