東急不動産消費者契約法違反訴訟被控訴人答弁書(案)
本書は東急不動産消費者契約法違反訴訟控訴審(平成18年(ネ)第4558号)における被控訴人答弁書の草稿である。第一回口頭弁論が開かれる前に東急不動産が和解に応じたため、東急不動産の控訴理由が法廷で主張されることはなく、従って反論である被控訴人答弁書が提出されることはなかった。
本書は被控訴人本人が作成したものである。被控訴人答弁書を裁判所に提出する場合は代理人が作成するが、本書は代理人の参考に資するために本人が作成したものである。
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
との判決を求める。
本件控訴の申立ては全て理由がない。控訴趣意書(平成18年10月18日付)記載の控訴理由は、原判決を非難するものであるが、その論旨は原審における主張と同一である。控訴理由は全て否定された主張の蒸し返しに過ぎない。控訴人は控訴審で争うに足る新しい論拠を何ら示していない。原判決が原審における控訴人(被告)の主張を排斥したのは原判決の説示に照らし正当であり、控訴理由は何れも理由がない。従って、本件控訴は速やかに棄却されるべきである。
被控訴人は、控訴人の控訴理由に対し、原審と重複するが再度、反論を述べる。
【控訴趣意書】先ず控訴人が提出した文書名「控訴趣意書」に問題がある。控訴趣意書は刑事訴訟で使用される用語である(刑事訴訟法第376条)。民事訴訟では控訴理由書と言う。東急不動産は民事訴訟と刑事訴訟の区別もつけられないのか。それとも刑事訴訟での文書名を故意に用いることで、東急不動産は原告を犯罪者扱いしたいという悪意があるのか。控訴趣意書には東急不動産代理人である三弁護士(井口寛二、野村幸代、森本香奈)の記名がある。弁護士を三名も付していながら信じ難い対応である。
平成15年6月26日に重要事項説明に引き続き、不動産売買契約が締結されたことを除き、控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は原審で潰れている。
控訴人は「訴外隣地所有者から「本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建ての建物を建築」するとの情報を得ていなかった」と主張する(控訴趣意書1頁)。これは控訴人の従前の主張と矛盾する。
甲第32号証「東急不動産回答文書」(大島聡仁作成、平成16年10月15日)において控訴人は「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」と記述した。これこそ控訴人が「「本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建ての建物を建築」するとの情報」を得ていた証拠である。その後の東急不動産回答文書も同内容を記述する(甲第37号証、甲第38号証)。
控訴人の主張が事実無根であることは明白である。控訴審においてまで、明々白々な嘘の主張を続けることに驚きを禁じ得ない。神聖な国家機関である高等裁判所に虚偽文書をよくも出せるものと怒りを覚える。
控訴人自身、原審において甲第32号証と同一文書の写しを証拠として提出している(乙第7号証の1)。即ち控訴人は原審において証拠を通して「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」と主張していた。
東急不動産住宅事業本部・関口冬樹も証人尋問において認めている(関口冬樹証人調書23頁以下)。ここでは営業サイドに伝えたとまで証言した。
裁判官「建ちますというようなことだって、そういうことはなぜ説明しなかったんですか。」
関口「いや、我々からその営業サイドのほうに引き継ぐときには、そういったお話が出ているということは伝えております。」
井田真介も同様に証言する(井田真介証人調書24頁)。
原告代理人「あなたが東急のきょう名前が具体的に出た、関口、中西という方々には、隣地所有者さんがこうはっきり言っているということははっきり伝えてあるわけでしょう。」
井田「はい。」
ところが控訴趣意書では「情報を得ていなかった」と主張を変える。控訴人の主張は、変化自在に変わる。その場しのぎで、食言を意に介さず、不誠実極まりない。言葉は放った時点で命を持つ。言葉は重い。この重い言葉を軽々と翻す東急不動産には宅地建物取引業者の資格はない。
【東急不動産の主張の変遷】何故、井口寛二弁護士は控訴趣意書に明らかに分かる虚偽を書くのか。不可解である。
東急不動産は以下三点について隣地所有者から説明を受け、同意していた。
第一にアルス完成後すぐに隣地建物を三階建てに建て替える。
第二に工務店の作業所と住居が一緒になるから騒音がある。
第三に後日、購入者との間で問題が起きることがないようにするために東急不動産が二階及び三階の購入者に上記第一及び第二を説明する。
被控訴人が問い合わせをした当初、東急リバブルは「知らない、聞いていない」と嘘をついた(2004年8月23日)。原告が真相を究明していくうちに東急不動産からの数回の回答文書及び協議(2004年12月12日)の場において初めから知っていたと明らかにした。東急不動産の説明内容は以下の通りである。
「井田真介(康和地所元従業員、現アソシアコーポレーション株式会社取締役)から聞いて初めから全て知っていました。言いたくても言えなかったのですよ。綺麗になって喜ぶ人もいるから。」
「当社の判断で説明しないことに決めました。」
「隣地所有者との約束を破ってしまったことは隣地所有者には申し訳ないと思っている。近日中に謝りに行きます。」
当社の判断とは隣地所有者が建築費用困難であったことを指している。しかし東急不動産は隣地所有者に「建築費用困難については井口寛二弁護士が勝手に書いたものです。申し訳ありません。すぐに訂正させます」と謝罪した。
甲第13号証「隣地所有者陳述書」6頁に以下の記述がある。
隣地所有者「調べもしない。私にも聞かないで都合の良い解釈をしただけじゃないですか」
野間秀一(東急不動産住宅事業本部)「そういう事になります」
大島聡仁(東急不動産住宅事業本部)「そういう事ですね」
隣地所有者は証人尋問においても以下のように証言した(隣地所有者証人調書16頁)。「原告さんにはそうやって人のせいというか、私の計画性がない、資金がないということを言っておいて、自分の前に来ると、直接会ったときは平謝りというか、勝手な解釈をして申し訳なかったと。」
関口冬樹を含む東急不動産従業員は、井田真介から隣地所有者の話を全て聞いていること、隣地所有者が資金調達できないことは井口弁護士が勝手に書いたこと、東急不動産が隣地所有者との約束を破ったことを皆、認めている。だから一審判決では原告の主張が認められた。
東急不動産従業員が認めているにもかかわらず、控訴趣意書1頁では隣地所有者からアルス完成後すぐに三階建ての建物を建築するとの情報を得ていなかったと主張する。全く筋が通らない主張である。東急不動産の従業員達は知っていたと認めているにもかかわらず、井口寛二弁護士だけが情報を得ていないと虚偽を主張する。控訴趣意書も井口寛二弁護士が勝手に書いたのか。初めから終わりまで粗末な呆れた内容である。
【三階までが型ガラス】アルスでは三階までの住戸の窓が型ガラスであり、四階以上の住戸は透明ガラスになっている。これは控訴人が建て替えられる隣地作業所階数を三階と認識していた証拠である。原告が隣地所有者から真相を聞いた時、隣地所有者は「だから二、三階は型ガラスで四階以上が透明ガラスなのですよ」と説明した(甲第27号証)。
型ガラスを採用したのは三階に建て替えられることになる隣地作業所への配慮である。管理規約は型ガラス採用の目的をプライバシーの保護とする(甲第24号証、アルス管理規約第72条7号)。しかし管理規約では購入者が自らの意思で型ガラスから透明ガラスに変更することを禁止する。東急不動産の定めるもの全てに当てはまるが、居住者にとっては義務だけで、マイナスにこそなれ、プラスになることはない(甲第42号証「陳述書(二)」23頁)。管理規約に挙げるプライバシー保護は居住者ではなく、近隣住民への配慮である。
法令上、隣地はアルスと同様、八階まで建築可能である。将来起こり得るかもしれない不確定な建て替えによりプライバシーを保護するためには、隣地に面する全ての階の窓を型ガラスにしなければならない。控訴人は隣地所有者から三階建てに建て替えられることを聞いていた。そして絶対に四階以上は建てないと隣地所有者から約束されていた。だからこそ、安心して四階以上は透明ガラスを採用した。
この点は一審判決が正当に認定するところである(12頁以下)。原審の見解は正当であり、何ら異とするに当たらない。
本件マンション完成後すぐにその北側に隣接する所有地に旧建物を取り壊して3階建ての作業所兼居宅を建て替える計画であることを聞かされていたのである(だからこそ被告においても前記認定のとおり本件建物北側の窓ガラスを型板ガラスにしたものと思われる。)
しかも東急不動産は卑劣にも図面上は301号室を透明ガラスとした(乙第5号証の2)。洋室1も洋室2も網入型板ガラスは二階の一枚だけで、他は透明ガラスとなっている。乙第5号証の2が、どの時点の設計書類であるかは不明であるが、管理組合が保管する設計図書及び竣工図書でも同様に型ガラスは二階だけで、三階以上の住戸は透明ガラスである(甲第42号証「原告陳述書(二)」24頁)。物件が完成してから作成される筈の竣工図書においても虚偽の内容を記載する。東急不動産は虚偽の図面まで作成して消費者を欺く企業である。
【契約締結日】控訴人は、平成15年6月26日に売買契約を締結したと主張する。不動産売買契約書の日付は平成15年6月30日である(甲第3号証)。契約締結自体は6月26日に行われたが、契約書上の日付のみ6月30日とされた。
契約書の日付を書いたのは東急リバブル担当者である。これは被控訴人が自書した住所氏名の部分と日付欄の字が筆跡も筆記用具の種類も異なることから明らかである。即ち契約締結が6月26日に行われたにもかかわらず、東急リバブルの希望で契約書上の日付を未来の6月30日としたことになる。
この点について控訴人は原審において以下の通り陳述した(甲第42号証「原告陳述書(二)」44頁)。
【契約締結日】本件売買契約の契約行為(契約書への記名捺印)は重要事項説明と同じ、2003年6月26日になされた。契約書上の日付は6月30日となっているが、契約書への記名捺印が行われたのは6月26日である。6月30日には何もなされていない。
6月26日には重要事項説明、住宅ローンの申込、契約締結を通して行った。これは原告が東急リバブル・中田愛子から受け取った「お申込からお引渡までのスケジュール」に記載されている。これはA4サイズのプリントで、タイトルの通り、引渡しまでのスケジュールが記載されている。6月26日に「重要事項の説明及び契約書等へのご調印」と記述してある。契約書への調印は6月26日に行われた。
また、受領証(乙第2号証)にも記されている。「受領証」は宅建業法35条(重要事項の説明等)及び同法37条(売買契約締結時の書面交付)規定の書面の受領証を兼ねている。これは「受領証」に「同法37条に基づく売買契約時交付図書の受領も兼ねます」と記載されている通りである。即ち、6月26日に重要事項説明と契約締結が一緒になされたことを示すものである。
当事者双方とも6月26日時点で契約が成立したとの認識を有していた。その証拠に6月26日の契約締結後に、東急リバブル・中田愛子は原告にオプション会(6月29日、11:00-15:00)に勧誘した。オプション会は新規に購入できる設備・仕様を展示し、内装工事の際に一緒に取り付けられるようにするための購入者向け商品展示会である。そして契約書上は未だ成立していない筈の29日に原告はオプション会に参加し、照明やクーラーの説明を受けている。
東急リバブルお客様相談室が著した書籍では重要事項説明について以下のように記述する。「不動産会社によっては、この重説を売買契約の直前に行うところもありますが、行政は契約の一週間前の実行を求めています」(東急リバブルお客様相談室、プロしか知らない不動産の落とし穴、住宅新報社、2000年)。
東急リバブルが本に書いたことと実際の販売手法は大違いである。東急リバブルが予め用意した書面の受領証が宅建業法35条(重要事項の説明等)と同法37条(売買契約締結時の書面交付)を兼ねていることから、重要事項説明と契約締結を同時に行うことが東急リバブルでは慣行化していることがわかる。しかも契約書上は契約締結日を後にして証拠隠滅を図る。計画的かつ悪質な悪徳不動産業者の手口である。
東急リバブルは重要事項の説明を形式的に済ませ、即座に契約締結に誘導した。上述の甲第42号証で引用した東急リバブルお客様相談室の書籍内容とは大違いである。東急リバブルは正に契約直前に重要事項説明を行った。東急リバブルの販売手法は、自社で出版した書籍に書かれていることの逆である。東急リバブルは悪行を隠すために契約日を6月30日と書き入れて証拠隠滅を図った。
契約日を意図的に操作しておきながら、問題を指摘されると、さりげなく実際の契約締結日を持ち出す。控訴人のご都合主義には呆れてしまう。本件不動産売買契約が取り消しに値するいい加減なものであることの証左である。
【建築確認申請】隣地建物の建築確認申請がなされていない事実は「アルス完成後すぐに三階建てに建て替える」との話を裏付けるものである。建築確認申請書には工事着手予定年月日を書かなければならない。アルスの竣工が何時になるか、正確な日時が不明なのだから、建築確認を申請することは不可能である。
そもそも一年以上後の工事に対し、建築確認申請することはない。隣地所有者はアルス完成の二ヵ月後の平成15年11月に建築確認申請をした。東急不動産自身、アルスの着工が平成14年11月20日で、建築確認は僅か三ヶ月前の8月12日である(甲第15号証「図面集」最終頁)。
仮に数年先の工事について建築確認を得たとしても、法令が改正された場合は申請に要した労力も費用も無駄になる。早めに申請して建築確認をとっても、設計を変更する場合は改めて変更確認をとらなければならない。個人の場合は着工の一ヶ月前に出すことも珍しくない。隣地所有者が東急不動産に建て替えを説明した平成14年時点で建築確認を申請する筈がない。この程度のことも知らないとは建築に関係する企業として無知も甚だしい。恥知らずとしか言いようがない。
控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は原審で潰れている。
【担当者関口の虚偽】控訴趣意書では東急不動産の担当者として住宅事業本部・関口冬樹の名前しか出ていない。これは誤りである。関口は隣地所有者とは挨拶程度の立ち話しかしていない。隣地所有者と会った時も、関口は事前に約束をして訪問した訳ではなく、偶然会った立ち話である。大事な話は何一つしていない。
近隣住民との折衝は井田真介が行った。井田真介は、当時は康和地所の従業員であったが、東急不動産の側に立って東急不動産のために働いていた(隣地所有者証人調書5頁)。東急不動産がマンション建設に際し、近隣住民との折衝を他社に丸投げすることはよくあることである。
悪徳不動産業者の無責任な需要に対応するために、近隣折衝業務を受託する専門の会社まで存在する。悪徳開発業者は自らが正面に出ない限り、自分の手が汚れてないとでも思っているようである。
例えば東急不動産は「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」(川崎市宮前区、土壌汚染発覚により建設中止)及び「湘南袖ヶ浜レジデンス」(神奈川県平塚市)建設に際し、株式会社メイズ・プラン(代表取締役平野直樹、宅建番号[神奈川知事]3-20379、2002年1月現在)に近隣折衝業務を受託した。
【従前の主張との矛盾】関口冬樹を(少なくとも唯一の)担当者とすることは東急不動産の従前の主張とも矛盾する。東急不動産従業員は今まで被控訴人に対し、担当者は住宅事業本部第四事業部(当時)の大島聡仁しかいない、と何度も主張していた(甲第48号証「原告陳述書(三)」45頁)。その大島と連絡が取れないため、他の担当者を要求しても対応されることはなかった(甲第48号証「原告陳述書」46頁)。東急不動産は何時戻ってくるか大島聡仁が連絡するのを待つことを要求するのみであった。当然のことながら大島聡仁のような無責任な人間が連絡する筈もなく、被控訴人が大島聡仁と連絡が取れたことはなかった(甲第42号証「原告陳述書(二)」57頁)。
その後、東急不動産の協議(2004年12月)において担当者と名乗った人物は住宅事業本部・林正裕グループリーダー、野間秀一課長である(この時点で大島聡仁しかいないと主張した東急不動産の大嘘が露見した)。関口冬樹は登場していない。
井田真介は東急不動産の担当者として三名を挙げる。「売買に関しては野間さんという方、11月の時点の引き継ぎのときに記憶しているのは、関口さん、ナカニシさんです」(井田真介証人調書22頁)。
関口冬樹自身、証人尋問ではアルスにおいて、もっと重要な役割を果たした人物がいることを証言している。上司の野間秀一が責任者で決裁したと証言する(関口冬樹証人調書19頁)。
以上から仮に関口冬樹をアルスの担当者と認めたとしても、せいぜい担当者の一人に過ぎないことが分かる。とすれば訴訟においては関口冬樹よりももっと重要な人物の認識・言動が問題となる筈である。しかし控訴趣意書1頁には「担当者関口」と堂々と書いている。まるで関口冬樹が唯一の担当者であるかのような書き方である。
被控訴人は担当者を自称する大島聡仁というとんでもない無責任な人間に翻弄され、無駄な労力を使ってきた。東急不動産と協議をすることは歪んだ汚いガラスを通して焦点を合わせるようなものであった。東急不動産の約束は金魚すくいに使うモナカ並みに脆弱であった。東急不動産従業員は生物学的及び社会学的に彼らが行動し、考え、感じることに従って、行動し、考え、感じるしかない。しかしプログラム通りに行動したに過ぎなくても、東急不動産従業員の対応は悪感情を抱かせるものであった。
何故、控訴趣意書で担当者関口と書くのか。関口冬樹が担当者であるとは今までの経緯から真に不可解である。
【井田真介の位置付け】控訴趣意書2頁では井田真介証人調書を引用して、東急不動産の方法が自社以外の不動産会社においても一般的であったと主張する。しかし東急不動産の主張は成り立たない。
井田真介は隣地所有者との折衝内容を証言するために召喚された証人である(被告証拠申出書、平成18年1月6日)。不動産業界の一般的な慣行を説明することを求められた訳ではない。井田真介の証言内容は井田真介個人の知識経験を語るものでしかない。高々、一人の証言をもって不動産会社において一般的だったと断定する東急不動産の論理は乱暴極まりない。
加えて井田真介を平均的・典型的な不動産業に従事する業界人と見ることもできない。井田真介は株式会社大京、康和地所株式会社、アソシアコーポレーション株式会社と勤務先を転々としている(井田真介証人調書1頁)。三社の資本金及び設立年月日を下表にまとめたが、井田は転職する度に資本金が少なく、設立年月日が浅い会社に変わっている。
|
社名 |
設立年月日 |
資本金 |
|
大京 |
1964年12月11日 |
269億9,992万円 (2006年3月31日現在) |
|
康和地所 |
1999年2月4日 |
3億7,654万円 (2006年11月12日現在) |
|
アソシアコーポレーション |
2004年2月 |
1000万円 (2004年3月19日現在) |
東急不動産が主張したいのは重要事項説明書の記載内容についてであるが、井田真介の知識経験は不動産業界における重要事項説明書の一般的な記載内容を説明するに足るものではない。
井田真介は証人尋問において「一貫してマンションをつくって売るという業務に携わっておられた」との質問を肯定する(井田真介証人調書1頁)。しかし上記企業に勤務していたということだけではマンション・デベロッパーの業務に携わっていたとはいえない。アルス(リリーベル東陽町サーモス)に関して康和地所は建設地を地上げして、東急不動産に売却しただけである(井田真介証人調書3頁)。地上げ屋・ブローカー的な役割しか果たしておらず、マンションを消費者に販売するための業務には携わっていない。
康和地所退職後の勤務先であるアソシアコーポレーションは用地仕入れに特化した会社である(甲第48号証「原告陳述書(三)」44頁)。ここでも土地を仕入れて転売することが業務で、マンションを販売するための業務は対象外である。井田真介がマンションを販売する業務に携わっていたとする事実は何ら立証されていない。従って井田真介の証言内容は業界の一般的な慣行を示すものではない。
【茶のみ話】控訴人は「建築資金に関する金融機関の話題は二度、三度のことであって、「茶のみ話」でもあるまい」と主張する(2頁)。これは偽りである。隣地所有者が関口にした話は正に茶飲み話であった。隣地所有者にとっては偶然会った立ち話に過ぎなかった。
既に原告が反論した通りである(甲第48号証「原告陳述書(三)」47頁以下)。
永代信用組合が破綻したことは隣地所有者の資金調達とは関係ない。被告は隣地所有者との話から話題になった内容を都合よく結びつけて、不利益事実不告知を正当化しようとしているに過ぎない。
問題発覚後、井田は隣地所有者に直接、「銀行が潰れたというのは隣地所有者にお金がないということではないですよね」と話している。
関口冬樹は、隣地所有者から隣地建物の由来や洲崎遊郭の跡であると話を聞いたと証言している(関口冬樹証人調書5頁)。これらの話題は関口が主張するアルスの重要事項説明とは無関係である。ここからは隣地所有者と関口との話し合いが堅苦しい真剣なものではなかったことが分かる。
世間話の中で永代信用組合の破綻の話題になったことを悪用して、隣地所有者を資金調達困難とこじつけたのが実情である。被告は四階購入者には隣地建て替えを説明しており、資金調達困難との理由も関口冬樹が、でっち上げたものと確信する。
控訴人の主張が何の根拠も伴わない控訴人の単なる希望的観測に過ぎないことは明白である。控訴人の主張は、推論の過程に著しい論理の飛躍があり、隣地所有者の説明内容を曲解するものであるから、失当である。
【金融機関名】そもそも控訴人は問題の金融機関名を正しく認識していない。被告準備書面(平成18年6月28日)3枚目では、「永代信用組合」ではなく、「永大信用組合」と記載する。永大信用組合という名前の金融機関は存在しない。永代は永代橋がある通り、地名である。
永代橋は帝都東京の門と呼ばれた橋である。ドイツライン川に架かっていたレマーゲン鉄道橋をモデルにし、現存最古のタイドアーチ橋かつ日本で最初に径間長100mを超えた橋である。控訴人が隣地所有者の話を真剣に聞いておらず、被控訴人とトラブルになった後で騙し売りを正当化するために隣地所有者の言葉を歪曲したことがよく分かる。控訴人は、ただ思いつきを並べているだけである。
【打ち消し推量の助動詞】控訴趣意書では「……まい」という表現を好んで用いている。控訴趣意書2頁では三度も登場する。
l 「本件最終調査の目的、位置付けを考慮すれば合理的でもあるまい」
l 「「茶のみ話」でもあるまい」
l 「担当者関口の証言に疑義を差し挟む余地はあるまい」
原審における被告準備書面でも「……まい」という表現が使用されていた。
「まい」とは打消しの推量の意を表す助動詞である。小学館『大辞泉』では「……ないだろう」と言い換えている。つまり控訴人の主張は推量でしかない。断定するつもりはないということである。
レポートの書き方の教科書でも以下のように指摘する。「レポートでは、確実なこと、自分がそうだと思うことは、はっきりと明確に書くべきなのである」(木下是雄『レポートの組み立て方』筑摩書房、1994年、174頁)。にもかかわらず、明確に断言しないのは控訴人の自信のなさの表れである。
それどころか、控訴趣意書の執筆者である控訴人代理人の苦慮さえうかがえる。控訴人代理人は控訴人の代理人として依頼人の利益となることを主張しなければならない。一方で弁護士は勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない(弁護士倫理規定第7条)。いくら依頼人のためとはいえ、嘘をついてはならない。
黒を白と主張することは弁護士の倫理に反する。但し依頼人に都合の良いように推量するだけならば事実を曲げたとまでは言えないと自分で自分を誤魔化すことはできる。依頼人の利益と弁護士倫理の板挟みによる苦渋の表現が「……まい」である。「……まい」は井口弁護士が都合の良いように推量して誤魔化しているだけである。
【関口冬樹偽証】関口冬樹証言には何らの信憑性もない。控訴趣意書2頁の「担当者関口の証言に疑義を差し挟む余地はあるまい」との主張には全く説得力がない。この「あるまい」は断定ではなく、推量でしかない。即ち控訴趣意書自身が関口冬樹の証言は確実なものとは断定できないと主張している。
関口冬樹は証人尋問の場において明白な偽証を行っている。既に原告が陳述した通りである(甲第48号証「原告陳述書(三)」33頁)。
【関口の偽証】乙第7号証の2についての関口冬樹証言は明らかな偽証である。原告及び裁判所を愚弄する非常に由々しき問題である。
関口冬樹は乙第7号証の2を2005年2月頃に作成したと証言した(関口冬樹証人調書13頁)。国土交通省から宅建業法違反の件で呼ばれたこととは関係ないとも証言した。これは明らかな虚偽である。
被告証拠説明書差し換え版(2005年8月23日送付)は乙第7号証の2について以下のように説明する。「平成17年7月8日頃作成」「被告は、国交省に本件に関する経緯を文書によって説明しているが、乙7の2は、国交省に提出した文書に数箇所書き加えをした文書」。
被告証拠説明書差し換え版(2005年8月23日送付)の説明から、乙第7号証の2が国土交通省への報告書が元になっているものであることは明らかである。被告は自ら様々な嘘を交えた屁理屈というべき主張をしながら、他方で御丁寧にも自ら墓穴を掘る矛盾した証言をした。
国土交通省に提出した報告書を土台として、自己に都合のよいように改竄したものが乙第7号証の2である(甲第42号証「原告陳述書(二)」51頁)。実際、乙第7号証の2は隣地所有者宛東急不動産株式会社住宅事業本部「ご報告書」(甲第40号証)とほぼ同じ内容である。甲第40号証中で「以下同文を国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課宛てに追加補足文として提出させていただきます」と記述する。
被告は改竄した証拠を提出して裁判所を欺こうとした。甲第40号証は被告が証拠の偽装を行ったことを裏付ける証拠である。被告側の偽装工作の実態までもが白日の下に晒されている。
被告証拠説明書差し換え版の執筆者である井口寛二弁護士が関口冬樹の偽証を知らない筈がない。それとも井口弁護士が関口に偽証を教唆したのか。虚偽の証言を基礎にして、事実認定がなされてはならないことは言うまでもない。
東急不動産従業員(林正裕、野間秀一)は「報告書は井口寛二弁護士が勝手に書いたものです。申し訳ありません。すぐに訂正させます」と隣地所有者に謝罪した。東急不動産は国家機関である国土交通省及び裁判所に虚偽の報告書を提出した。このようなことが通るのかと憤りを感じる。
控訴人の主張は認められない。控訴人の主張は既に原審で潰れている。
控訴趣意書3頁では「建物容積率は400%であって法的には本件マンションと同じ階層まで建築することも可能である」と強調する。それならば、何故、三階までを型ガラスとし、四階以上を透明ガラスとしたのか。控訴人が隣地所有者から建替えは三階建てにすると聞いていたからに他ならない。隣地所有者の話を現実性のあるものとして受け止めていたからに他ならない。だからこそ四階購入者には三階建てに建替えられると安心して説明できたのである(甲第46号証)。控訴人の主張は整合性を欠いている。
控訴人が作成した重要事項説明書には隣地所有者が説明した内容(アルス建設後すぐに建替える、三階建てを建てる、住まいと作業所が一緒になるから騒音がある)は一切反映されていない。原告準備書面第一17頁以下で指摘した通りである。
それは、自ら述べるとおり、まさしく「一般的」な記述であり(参照、関口証人調書23頁)、被告の主張する「本件マンションの北側隣地」に何ら言及するものではなく、また、被告の担当者宮崎英隆(重要事項の説明者、宅地建物取引主任者)も、平成15年6月26日(木)の重要事項説明の際、原告の「北側の建物も指しているのか」との「質問」に対し、「そういうものではない、一般的なものだ」と「回答」している(原告本人調書3頁、甲14−